「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2021」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、宮城県仙台市を拠点に注文住宅を手がけるササキ設計の佐々木 文彦さんです。
地元の木材と職人による地産地消の家づくり
地域材を用いた地域の職人による地産地消の家づくりは、自分たちが住んでいる環境を守ることにつながります。無垢材の柱と梁で構造がつくられ、無垢の床板などの自然素材に囲まれた空間にいると、シックハウスなどの心配もなく、心から落ち着くことができます。そして伝統的な骨組みをそのまま見せるデザインにより、木が本来持っている魅力を最大限に味わうことができ、木のやわらかさや温もり、調湿性が住空間の心地よさを保ちます。
そのような空間をつくるには、熟練した職人の能力が欠かせません。職人の技を守ることは、日本の建築文化を守るということ。それは地域経済に寄与するとともに、修繕やメンテナンスの面でも安心で、長く住むことができる家づくりにつながると考えています。
被災地に建つ大屋根の家
「鹿折の家」の敷地は気仙沼市の被災した住宅地の土地区画整理事業地内に位置しています。既成市街地の復興は時間を要するため空地が目立ちますが、この大屋根の家の佇まいは、本格的な復興に向けての意思を感じさせるものとなっています。ご家族は当初より県産木材と自然素材でつくる木の家を希望されていました。現在はご夫婦でお住まいですが、家族が増えることも考えてプランニングを行いました。
玄関からリビング・ダイニング、和室が一体で、屋根裏まで大きく吹き抜けた空間構成とし、太い丸柱や梁、現しの小屋組みから、組み上げた木材の力強さがダイレクトに感じられます。Tさんからは「スギの床の感触が気持ちいいし、木組みの梁や天井を見上げると大きな満足感があります」などのご感想をいただいています。
玄関土間の上がり框に腰掛けながら、薪ストーブを囲んで気軽に談笑できるつくりが、訪れる人とご家族との距離を近づけます。そんな気持ちのいい日常が生まれやすい住まいとなりました。
■建築DATA
宮城県気仙沼市・Tさん宅
家族構成/夫婦50代
構造規模/木造・2階建て
延床面積/132.49㎡(約40坪)設計/(有)ササキ設計 佐々木 文彦
施工/共栄ハウジング (株)
撮影/フォトスタジオ・モノリス
\2021/6/16発売!「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2021」/
東北で活躍する建築家や建築会社によるデザイン性の高い住宅実例集のほか、東北6県で活躍する建築家6組に、大きく変化しつつある「今とこれからの住まい」についてインタビューした巻頭特集や、古いれんが倉庫をリノベーションして生まれ変わった「弘前れんが倉庫美術館」の取材ルポなど、住宅や建築を多面的に捉えたコンテンツで、家づくりの参考になる住宅のデザインを提案。住宅実例も多数掲載!
東北の書店にて発売中!
〈インターネット購入〉Replan webサイト /Amazon /Fujisanマガジン
※インターネット購入・方法についての詳細はこちらからご確認ください————————————————
★YouTubeで座談会を視聴できます!★
今回は特別企画として、巻頭特集でインタビューした建築家たちによるオンライン座談会を開催。特集で語ったことや建築家として考えていることなど、普段聞けない話が盛りだくさんです!ぜひ併せてご視聴ください。