「子どもの頃に飽きずに眺めたのは、書籍の中のヨーロッパのお城の華やかな空間と暮らし」。そう語る奥さんの大阪の実家は、鬼瓦に松が似合う純和風建築でした。「父から日本の家とはそうあるべきと聞かされるほどに、心の中に芽生えたお城への憧れは膨らみましたね」。
時は流れ、縁あって同郷のAさんと結婚。帯広市で長く賃貸生活を送っていました。「子どもが2人になり、借りていたマンションは手狭になる一方。5年ほど前から、新築を本格的に考え始めました」。 奥さんは子どもの頃からの夢の実現に向け、Aさんの職場に隣接する住宅街で土地探しを開始。並行して、大好きなディズニーランドのシンデレラ城と、そのモデルになったドイツのノイシュヴァンシュタイン城をお手本にした邸宅を実現してくれる会社を捜し歩きました。
「見た目の美しさと同時に、住みやすさも大事にしたいと考えていましたが、なかなか引き受けてくれる会社がありませんでした。何軒も回って、ようやくとかち工房に出会うことができたのですが、後藤社長が私のイメージをすぐに理解してくれたので、安心してお任せできました」。
2017年の春、とかち工房始まって以来の大工事が始まりました。66歳の棟梁を筆頭に、とかち工房の家づくりを支えるスタッフが集結。塗装や建具、左官。それぞれの技量と経験を持ち寄った職人たちが現場で丁寧な手仕事を重ね、この4月、奥さんが憧れ続けた宮殿そのままの住まいが完成しました。
高さ6mを超えるオーバル型のドーム天井に光さざめくシャンデリア、大理石の壁とマントルピース。天地いっぱいに延びる窓には美しいドレープを描き出すカーテンが揺れ、古きよき時代の映画のセットに迷い込んだようです。「このシックな雰囲気は、後藤社長が最初に描いて見せてくれたイメージスケッチそのまま。ここに立った瞬間、長年の夢がかなったと思いました」。
重厚な意匠を施した建物を彩るインテリアは、後藤社長と、これまでもとかち工房の洋風建築を多く手掛けてきたインテリアコーディネーターとの、抜群のチームワークによるもの。「打ち合わせのたびに必ず、いくつかの選択肢を用意して導いてくれたおかげで、建物にぴったりのインテリアが実現できました」と、奥さんは大満足の様子。また、家族の生活動線を考えた室内には、造作収納もたっぷり。奥さんが希望していた暮らしやすさも実現されています。
「和風建築しか認めないといっていた父が、でき上がった家を見て大絶賛。来春には、とかち工房にプランをお願いした庭と外構も完成する予定です。ベルサイユのような緑とバラが美しい庭にできたら」と、奥さんは次の夢を幸せそうに語ってくれました。