青空の下で生き生きとした緑が生い茂る夏、葉を落とした木々に深い雪が積もる静かな冬。当別町は自然の豊かさと厳しさが共存する北海道らしい気候を持つ町です。
「札幌至近ながらも自然に溢れ、道路整備も行き届き、都市機能もあります。当別町は非常にポテンシャルの高い町なんです」と話すのは辻野建設工業の代表・辻野浩さん。「地域性を生かす」ことをモットーに、気候風土や町並みなど当別町が持つ魅力を最大限に引き出す家づくりを行っています。
なかでも同社が1998年から取り組んでいる「当別田園住宅プロジェクト」は、「北海道らしい風景に合った暮らしの場を提供したい」という辻野さんの思いが込められたもの。自然に溶け込む田園住宅を見て、四季を感じる家づくりに共感した方々が集まり、これまでに30棟近くの田園住宅が建ち、当別の町並みに新しい風を吹き込んでいます。
「田園住宅を建てる方のほとんどが町外からの移住者です。広大な敷地をどう利用するかはそれぞれの自由。ヤギや羊を飼ったり、畑を耕したり、各々が自分たちに合った暮らしを自由に楽しんでいますね」と、その姿に逆に刺激を受けることも多いと辻野さんは目を輝かせます。
「年に一度住民を集めて説明会をしてくれたり、売主と買主という関係にとどまらず、辻野さんは僕たちをいつも見守っていてくれます」と話す林田さんご夫妻も10年ほど前に当別町に来た移住組。楽曲制作を請け負うアーティストという一面を持つ林田さんは2016年、辻野建設工業にお願いして敷地内に音楽スタジオを建設。
調理師を目指している息子さんの「夏休みを利用して腕をふるいたい」という言葉に応え、2017年夏にはスタジオに併設したカフェもオープンしました。当別町産の素材にこだわったメニューは大好評で、息子さんの夏休み後は林田さんが引き継ぎ営業を続けています。「カフェをやるなんて想像していませんでしたが、ここで暮らしていると新しいことに挑戦してみたいという気持ちになるんです。土地を増やし、羊も飼い始めたんですよ」。畑や畜産は必ずしも利益を生むものではありません。自然に囲まれた田舎暮らしは、都会では気づけない新しい生活価値観を林田さんにもたらしてくれました。
時代の流れとともに離農が進み、人口減少の道を辿っていた当別町は今、土地を整備し家を建て再び息を吹き返しています。「人や土地はそうやって繰り返してゆくもの。こうした循環の輪の中に存在している、ということを大切にしたいです」と辻野さん。辻野建設工業は、太陽のようなおおらかな姿勢で住民たちを包み込み、当別町の新たな可能性を照らし続けています。