1~2地域のQ1.0住宅実現手法 ~躯体の各部の断熱を増やすことの効果
それでは、上手なQ1.0住宅実現にはどのようにすればいいかを、分析的に考えてみましょう。特に寒冷地である、北海道・北東北の1~2地域と3地域について分析してみます。
図2は、1~2地域の札幌で、120㎡モデルプランの省エネ基準見なし仕様住宅について、天井の断熱、外壁断熱など躯体部分の断熱材の厚さ、開口部、換気の熱損失が生じる7つの部位について、そのうち1つだけを性能向上させたときの、各部位のU値とそのときの暖房エネルギーを暖冷房エネルギー計算ソフト「QPEX」で計算し、その暖房エネルギー削減率を表したグラフです。
たとえば天井については、見なし仕様では吹き込みGW300㎜が見なし仕様で規定されていますが、その断熱材の厚さを400㎜に増やしたとき、暖房エネルギーは1.8%削減されるということを示しています。たった1.8%ですが、これにかかるお金はわずかで、費用対効果は結構高いのです。
天井・外壁・床・基礎の中では、外壁の断熱材の厚さを増やす効果が一番高くなります。天井に比べて見なし仕様の断熱材の厚さが薄いことと、天井・床に比べて外壁面積が2倍近くあることによります。したがって、断熱材の厚さを増やすなら真っ先に外壁ということになるのですが、ここが一番お金のかかる部位でもあります。とはいっても、この部位は、新築時に厚い断熱材を施工するとその効果は長く続きます。十分に検討する必要があります。
床の断熱性能を増やすことは、それほど大きな効果がないように見えますが、これによって床表面温度が1℃以上上がり、快適性が向上しますから、真っ先に採用したい部位でもあります。