北海道長沼町の田園地帯、冬は真っ白な世界が広がる北海道らしい景色の中にshandi nivas caféはあります。ご主人の坂本圭司さんがつくる南インドカレーをベースにした彩り豊かなカレーと、奥さんの笑子さんがつくる自然素材を生かしたケーキとコーヒーが評判のカフェには、平日週末問わず多くのファンが訪れます。

2012年に栃木県那須塩原市から長沼町へ移住した坂本さん。「自然が豊かで安心して子育てができる場所を探していました。もともと寒い土地の美しさに惹かれていたこともあり、北海道への移住を決めたんです。長沼町に住みながら、1年以上開店の場所を探していました」。長沼町の明るい雰囲気、住む人の温かさなどを気に入っていたところ、築60年以上の民家に出会ったことで開店への道が一気に開けたといいます。

10年以上空き家だった民家は、築年数が経っているだけあって古く暗い建物でしたが、「まずこの佇まいとペチカが気に入りました。建具の感じや質感も良くて、もともと古いものが好きだったこともあり、『これは良くなる…!』というイメージができました。この建物の存在が店の場所を決めたようなものです」と、坂本さんは楽しそうに話します。

ご夫妻が自らリノベーションを手がけた店内は、古い柱や梁、建具の雰囲気を生かしつつ、和室だった部分をひとつの広い空間にし、田園の景色が見渡せる窓を新たに設置するなど、くつろぎの空間にするための工夫が凝らされています。客席部分の床材は新しい木材に墨汁を染み込ませ、亜麻仁油で仕上げたあと毎日水拭きをすることで、もとからあった建具や床材になじむ雰囲気にしたとのこと。

店舗の入り口には増築で設えたギャラリーがあり、風除室的な役割と訪れた人の心を自然と店内へ導く役割を果たしています。作家さんの展示も年に数回開催しているとのこと。「居心地のいい場所をつくりたいという動機でお店を始めたので、ギャラリーも含めいいものを紹介することで、来てくれる人が心地よく過ごしてくれるといいなと思いながらいろいろトライしています」。

お店もカレーもイメージに近いものにするために、周囲の人のアドバイスも聞きながらできるだけ自分で手を動かしてつくりたいという坂本さんは、昨年から野菜の自家栽培も始めたそう。

一方、笑子さんは店舗裏にある焙煎小屋で、コーヒーの焙煎を研究する日々。「季節や豆の状態で乾燥具合や味が変わるので、『これだ!』という答えを得られるまで時間がかかってしまって…」と、いいものをとことん追求する姿が印象的です。

オープンから7年経ち、地域にも人々にも愛される心地のいい居場所となったshandi nivas café。長沼町にしんしんと降り積もる雪のように、今も静かに進化を続けています。


Idea.1 古い民家もイメージしだいで自分たちらしく

築60年以上は建っていた古い民家をリノベーションし、1階をカフェ、2階を住居として利用しています。10年以上空き家だったこの家を見つけたとき、坂本さんはすぐにピンときたそう。「古くて、室内は暗い家だったけれど、直して使うイメージが湧いたんです。この家は僕たちを待っててくれたんだと思いました」。

Idea.2 少しずつ集める楽しみも

古物商の免許を持ち、古道具や古い家具が好きだという坂本さん。客席の椅子や照明器具、薪ストーブなど、買い集めたり人からもらったりして少しずつ集まってきたといいますが、店内には不思議な統一感が漂います。新築やリノベーション時に一気に買いそろえるのではなく、気に入りのものを少しずつ手に入れることで、それに合った空間をイメージできるようになるのかもしれません。

Idea.3 手づくりの空間でオリジナルの時間を

客席のテーブルは、坂本さんが天板に脚を溶接してつくったオリジナル。大テーブルは古い足場板を使って一から製作したそう。民家のリノベーションもご夫妻と友人たちで手がけ、1年をかけてお店として完成させました。自分たちで手を動かして空間をつくることで、愛着を持って長く使える場所となっているようです。

 おすすめMENU 

2種のカレー(チキンカレー/海老とココナッツのカレー)

南インドカレーをベースにアレンジした彩り豊かなカレー。カレーと副菜、ご飯をお皿の上で混ぜながら楽しみます。

自家製ケーキと自家焙煎コーヒー

乳製品不使用の黒ごまのケーキとバナナケーキ。笑子さんはyatraという屋号で自家焙煎のコーヒーも提供し始めたそう。

 

shandi nivas café

所在地:北海道夕張郡長沼町東4線南10番地
営業時間:11:00~16:00(L.O.15:00)
定休日:日曜・月曜
URL:https://shandinivas.com