道北地域の森林を研究する技術職員であるSさんは、森と木のプロフェッショナル。今後の転勤なども考え、美深町に拠点を設けようと家づくりを決めました。
山、空、草木が見える暮らしを希望したSさんが気に入ったのは、木造の母屋と納屋が建つ土地で、2棟とも築年数は相当なもの。中でも特に心を打ったのが、納屋の構造材として使われていた9mにも及ぶシウリザクラという広葉樹でした。「家具材や合板に使うのが主流の広葉樹を、構造材として使っていることに感動し、この素晴らしい古材を生かす技術のある会社を大前提に依頼先を探しました」。
構造材ではなく化粧梁としてなら可能という回答がほとんどを占める中、「よろしいですよ」と快く答えてくれたのが新濱建設です。新濱建設は、厳しい自然環境下においても、暑さや寒さをものともしない自然素材に包まれた高性能住宅をつくる会社。木材の自社加工や熟練した自社大工の技術で、ローコストながらも見えないところまで丈夫で長持ちする、世代を超えて住み継がれる長寿命な家の実現を目指しています。
「新濱社長自身も大工で、自社の技術に誇りを持っている姿勢には説得力と安心感がありました。また、古材の活用に関してはもちろんのこと、室工大の鎌田先生の本で住宅性能を勉強し、感銘を受けた私にとって、鎌田先生から多くを学んだと話す新濱社長には性能面でも信頼感を覚えました」とSさん。こうして新濱建設との家づくりが始まりました。
2020年2月、カラマツの外壁、ミズナラの無垢床、天井はトドマツ、引き継いだ古材は梁や大黒柱、窓台や玄関の上がり框などにフル活用して実現した道産木材100パーセントの平屋の住まいが完成。解体した2棟分の廃材は、使えるものは製材し、残りはすべて薪ストーブの燃料に。本来ならば産業破棄物として処理される運命だった木は、Sさんと新濱建設の手によって余すことなく再利用することができました。
「森林資源を住宅などに有効活用するためには、大工の技術の継承が不可欠です。古くからの技術と最先端の住宅性能を併せ持つ新濱建設の家づくりこそ、環境に優しいものだと思いました」と、まるで森の中にいるような木の香りに包まれる家の中で、Sさんは語ってくれました。
美深町・Sさん宅 スライドムービー
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