20年の歩みのなかで積み重ねた
豊かな経験と美意識がつくり上げる
注文住宅「LUXE(リュクス)」

「家づくりをより身近なものに感じてほしい」という想いから、北王では毎月、実際に建てた家を一般に広く公開するオープンハウスを実施しています。2020年9月には、セミオーダー方式の規格住宅「QUAREA(クオリア)」のオープンハウスが行われ、こちらの記事でその様子をご紹介しました。そして10月下旬、北王のこれまでの歩みとともに進化し続けてきた、代表ブランドである注文住宅「LUXE(リュクス)」のオープンハウスが、札幌市内の住宅密集地で開催されました。

LUXEは、お客様ごとに異なる敷地環境と要望、予算に合わせ、ゼロベースからプランを考え、提案する住まいです。「北王ならではの空間の機能性と美しさの両立はもちろん、住まうご家族がより気持ちよく過ごせるプラスアルファの提案を加えることが、私たちの最も大切な仕事と考えています」と、設計部マネージャーの加賀 亘さんは語ります。

オープンハウスの舞台となった新築注文住宅。外観は、黒のガルバリウム鋼板と塗り壁を用いたシンプル&シックテイストに。住宅密集地のため、外部の目線を気にせず暮らせるよう開口は最小限に抑えた
オープンハウスの舞台となった新築注文住宅。外観は、黒のガルバリウム鋼板と塗り壁を用いたシンプル&シックテイストに。住宅密集地のため、外部の目線を気にせず暮らせるよう開口は最小限に抑えた

その要となるのが、敷地を読み解く力。一般に南向きに大きな開口を設けるのが良いといわれますが、夏の暑い陽射しが必要以上に室内に射し込むことで、クーラーなしでは暮らせないケースも。敷地の周辺環境をじっくり観察することも重要なポイントだといいます。「省エネ、環境に配慮する意味でも、日射のコントロールが重要です。また、敷地と周辺の建物との関係性も、開口の大きさや高さ、位置などに大きく影響してきます」。

完全予約制で行われたオープンハウス。この日も多くの家族連れが訪れ、注文住宅ならではのこだわりを体感していた
完全予約制で行われたオープンハウス。この日も多くの家族連れが訪れ、注文住宅ならではのこだわりを体感していた

今回のオープンハウス会場は大きな敷地でしたが、北王では近年、隣に建物が迫るような狭小地や採光性が悪い敷地での計画も多いといいます。「そういったときにこそ、注文住宅の考え方に価値が出てくると感じています。20年間いろいろな条件で建築してきた実績は、提案の幅広さにつながっていると思います」と加賀さん。

間取りや内装を予算に合わせて計画できるのが注文住宅の魅力のひとつ。最近は自分が好きな雰囲気の画像をSNSで収集し、要望される人も多いとのこと。「そういった要望の本質をくみ取り、敷地条件を踏まえながら、住宅という形に翻訳していくのが私たちの仕事といえるかもしれませんね」。

予算について加賀さんはこう語ります。「限りのあるものですので、配分には特に気を配ります。例えば最新機能が搭載された住宅設備、あるいは天然木の質感が感じられる無垢床、アクセントで使うタイル……。いろいろな要素の積み重ねで価格は決まっていきますが、『必要以上』である価値はありません。どこに重点を置くべきなのかを一緒に考えていく姿勢を大切にしています」。

そして北王では、先々の暮らしを考えてメンテナンスの負担を考慮した設計や素材選びを心がけています。「長く快適に住まうためには、メンテナンス性の良さも大切です。木製のルーバーやデッキなどは家族で楽しみながらメンテナンスができる範囲で提案。ご家族が手をかけていくことで住まいへの愛着が増し、空間の味わいも豊かになるでしょう」。

「モノづくりが好きで建築の道へ進んだ」という加賀さん。「時代の変化に合わせて、北王らしさも常にブラッシュアップしていきたい。そのための情報収集も大切にしています」
「モノづくりが好きで建築の道へ進んだ」という加賀さん。「時代の変化に合わせて、北王らしさも常にブラッシュアップしていきたい。そのための情報収集も大切にしています」

そう語る加賀さんをはじめ、設計に携わるスタッフはより新鮮な提案ができるよう、日頃から情報収集に努めているといいます。「スタッフ同士も、日常的な情報交換を大切にしています。常にみんなで情報を共有することで、さらに提案のカードが増え、お客様に満足を超えた驚きや感動を与えられるのだと思います」と、加賀さんは語ってくれました。

細部にまで住みやすさへの
気遣いが行き渡る
住宅密集地のコートハウス

それでは、今回のLUXEの住まいの魅力を隅々まで体感してみましょう。新旧の住宅が肩を寄せ合うように並ぶ住宅街の一角、約80坪のゆとりある敷地に建つこの住まいは、2人のお子さんを持つご夫妻が「落ち着いた環境で子育てをしたい」と、加賀さんと一緒にプランを練り上げた2階建てのコートハウスです。

開口を最小限にしたファサードから一転、玄関に入ると開口越しに中庭が広がり、開放的な雰囲気。1階はユーティリティとつながる水まわりとピアノ室、家族の寝室を集約したプライベートエリアで構成されています。

階段に隣接して、ゆとりある広さのユーティリティ、洗面脱衣室、浴室を最短の動線でつないだ水まわり空間が設けられている
階段に隣接して、ゆとりある広さのユーティリティ、洗面脱衣室、浴室を最短の動線でつないだ水まわり空間が設けられている
間接照明と大型ミラー、タイルを用い、すっきりと仕上げた洗面台。洗面カウンターには、メンテナンスのしやすい人工大理石を採用
間接照明と大型ミラー、タイルを用い、すっきりと仕上げた洗面台。洗面カウンターには、メンテナンスのしやすい人工大理石を採用

玄関脇に設けたピアノ室には、ナラ無垢床と質感を合わせた造作収納を設えた。オープン棚の棚板は小口にテーパー加工が施されている
玄関脇に設けたピアノ室には、ナラ無垢床と質感を合わせた造作収納を設えた。オープン棚の棚板は小口にテーパー加工が施されている
今回、LUXEで初めて採用した、石をごく薄くスライスした輸入建材を、寝室のアクセントウォールに用いた。間接照明に浮かび上がる陰影が、空間をドラマチックに演出
今回初めて採用した、石をごく薄くスライスした輸入建材を、寝室のアクセントウォールに用いた。間接照明に浮かび上がる陰影が、空間をドラマチックに演出

玄関ホールから延びる階段を上がると、パントリーを備えたキッチンとリビング・ダイニング、和室、書斎などのパブリックエリアが目の前に。中庭に面した南向きの大開口には、夏の陽射しが直接室内に射し込まないようバルコニーが設置されています。「敷地の3方が住宅で囲まれていたので、周囲の人の気配や車の往来を気にすることなく暮らせるよう、LDKを2階に配置することを提案しました。外光をとり込む開口の位置や大きさにも配慮したので、明るく広がりのあるくつろぎ空間が実現できました」と、加賀さん。

高さを抑えた造作収納で動線を分離し、広がり感を演出した玄関ホール
高さを抑えた造作収納で動線を分離し、広がり感を演出した玄関ホール
帰宅後、LDKに入る前に手洗いやうがいができるよう、階段を上りきったところに洗面台が設置されている
帰宅後、LDKに入る前に手洗いやうがいができるよう、階段を上りきったところに洗面台が設置されている

間仕切りなくつながるLDKは開放感たっぷり。南向きの大開口には夏の陽射しを程よく和らげるバルコニーが設けられている
間仕切りなくつながるLDKは開放感たっぷり。南向きの大開口には夏の陽射しを程よく和らげるバルコニーが設けられている
リビングの奥には、家族で使える書斎がある。造作カウンターの窓からは、中庭が見下ろせる。背面には造作書棚も設置
リビングの奥には、家族で使える書斎がある。造作カウンターの窓からは、中庭が見下ろせる。背面には造作書棚も設置

家族の暮らしの中心となるLDKで目を引くのは、料理好きな奥さんの希望で採用したという木質感あふれる造作キッチン。加賀さんは、無垢材を生かした家具づくりで定評のある「澪工房」に造作を依頼することを提案しました。インテリア性と機能性を兼ね備えた造作キッチンを見た奥さんは「ここで早く料理やお菓子をつくりたい」と大喜びだったそう。

タモの面材とタイルを用いた奥さんこだわりの造作キッチン。シンク下にゴミ箱スペース、食洗機も組み込まれ、収納力も抜群。使い勝手と美しさを兼ね備えたキッチンは、くつろぎ空間の主役に
タモの面材とタイルを用いた奥さんこだわりの造作キッチン。シンク下にゴミ箱スペース、食洗機も組み込まれ、収納力も抜群。使い勝手と美しさを兼ね備えたキッチンは、くつろぎ空間の主役に
キッチンに隣接して、ストック食材や食器、キッチン用品などをたっぷり収納できる大型のパントリーを設置。階段ホールにもつながる回遊動線を採用
キッチンに隣接して、ストック食材や食器、キッチン用品などをたっぷり収納できる大型のパントリーを設置。階段ホールにもつながる回遊動線を採用

打ち合わせに訪れた澪工房で、ご夫妻は面材と同じタモ無垢板のダイニングテーブルにも出会い、より調和の取れたダイニング・キッチンを実現することができました。「キッチンは、ご予算と使う方に合わせて仕様や設備を選んで提案しています。今回のような造作のほか、既製のシステムキッチンをより使い勝手がいいように組み替え、ご提案させていただいています」。

木質感あふれるキッチンとぴったりな、木目の美しいタモ材の造作ダイニングテーブル
木質感あふれるキッチンとぴったりな、木目の美しいタモ材の造作ダイニングテーブル

造作の収まりが美しい室内は、間接照明や繊細な窓台、動線効率の良い収納など、北王らしさが随所に。就学前のお子さんが居るご家族の住まいとは思えないスタイリッシュな空間に仕上がっています。「よく“子育ての住まい”といいますが、私たちは夫婦のみで住まう年数のほうがはるかに長い点に着目し、お子さんが巣立った後、そして夫婦の老後まで考えたプランを提案しています。この住まいも同様です。そうした長期的な視野に立った暮らしやすさの追求をしながら、今よりさらに良い住まいをつくりたいと考えています」と、加賀さんは真っすぐな眼差しで語ってくれました。

静謐な空気をまとった美しいコートハウスは、これから家族の暮らしとともに歳月を重ね、より深い表情をたたえていくことでしょう。