(有)大元工務店 / 余市町・Yさん宅 夫40代、妻30代、子ども3人


6年ほど前、奥さんが友人宅で何気なく手に取った住宅雑誌でふと目に留まったのが、大元工務店の家でした。「ここなら絶対に好みにぴったりの家を建ててくれると直感しました」と、奥さんは最初の出会いを振り返ります。

菜園予定地で談笑するYさんご家族と大元社長。「大元社長や友人たちに助けられ、理想の住まいをカタチにすることができました」と奥さん
菜園予定地の広い庭の一角で談笑するYさんご家族と大元社長。「大元社長や友人たちに助けられ、理想の住まいをカタチにすることができました」と奥さん

当時、Yさんご夫妻は仁木町の公営住宅に住んでいました。1LDKの寒い住まいで、子育てには手狭だったことから住み替えを検討していましたが、奥さんには家づくりと一緒に叶えたい夢がありました。それは、菜園のあるカフェレストランを余市町で開くこと。「余市は私の両親の出身地で、夫の職場も近くにあります。札幌へのアクセスが良くて第一次産業も盛ん。自然の恵みがたっぷりの余市で、20代からの夢を実現したかったんです」。

そんな奥さんの想いを全面的に後押ししたのがご主人です。中古住宅も選択肢のひとつでしたが、「思い描く家づくりを妥協せず、もう少し準備に時間をかけたら?と話しました。家づくりは妻に任せました」と話します。

2019年10月、余市川の近くに理想の土地を見つけた奥さんは、すぐに大元工務店を訪ねます。奥さんの主な要望は「カフェレストランを併設したい」「いずれ子どもたちは巣立つので、なるべくコンパクトな家にしたい」という2つ。同社がつくる木を生かした温かな雰囲気がとても気に入っていたため、家づくりの詳細は一任しました。

大元社長は設計時を思い返して「建物のレイアウトの自由度が高いゆとりある敷地を生かして、建物を真南向きに配置。夏の強い陽射しを庇で遮りつつ、冬の陽射しは採り込める、大きな片流れ屋根の住まいを提案しました」と語ります。

外壁は「明るい雰囲気にしたい」という要望で、塗り壁とカラマツ張りのツートーンに。写真向かって右側が店舗用、左側が住宅用の玄関で、室内からは行き来ができない設計
外壁は「明るい雰囲気にしたい」という要望で、塗り壁とカラマツ張りのツートーンに。写真向かって右側が店舗用、左側が住宅用の玄関で、室内からは行き来ができない設計
玄関からリビングへとダイレクトにつながる間取り。家族の「ただいま」の声が、キッチンに立つ奥さんにすぐに届く
玄関からリビングへとダイレクトにつながる間取り。家族の「ただいま」の声が、キッチンに立つ奥さんにすぐに届く

完成したのは、1階に玄関から直接アクセスできるLDKと水まわり、個室になる主寝室を、大きな吹き抜けでつながる2階に学習コーナーと子ども室をレイアウトしたプラン。畑仕事をする奥さんが、玄関から作業着のまま浴室へ直行できる裏動線を確保しています。また公道側には、居住空間から完全に独立させた店舗空間を組み込みました。

最初に提案されたプランを見た奥さんは「計画の隅々に、私たち家族の暮らしや気持ちを汲んでくれている優しい目線が感じられました」と安心感がさらに増したそう。施工中に現場の大工さんや設備屋さんから「ちょっと違うと思ったら何でもいってください」と声をかけられたことも、奥さんにはとても心強かったといいます。  

畑仕事を予定している奥さんの要望で設けられた裏動線は、玄関からシューズクロークを経て、水まわりへ直接アクセスできて便利。壁の棚は奥さんがDIYして造りつけた
畑仕事を予定している奥さんの要望で設けられた裏動線は、玄関からシューズクロークを経て、水まわりへ直接アクセスできて便利。壁の棚は奥さんがDIYして造りつけた
外作業中も使いやすいよう、奥さんの希望でトイレは玄関に隣接して設置。靴の脱ぎ履き、室内からの出入りに便利な「すのこ」は、現場の大工さんの造作
外作業中も使いやすいよう、奥さんの希望でトイレは玄関に隣接して設置。靴の脱ぎ履き、室内からの出入りに便利な「すのこ」は、現場の大工さんの造作
木をふんだんに用いた空間に、明治時代の箪笥やビンテージ加工を施した家具がしっくりとなじんでいる
木をふんだんに用いた空間に、明治時代の箪笥やビンテージ加工を施した家具がしっくりとなじんでいる

毎日のように現場へ足を運び、わが家がカタチになっていくのを見届けていた奥さんは、お子さんたちと一緒に壁の仕上げにも挑戦しました。「自分たちの家を自分の手でつくっているという実感がたっぷり味わえました」と、家への愛着を深める経験になったようです。  

2020年8月、6年越しの想いを実らせた新居が完成しました。ナラの無垢床、カラマツの天井や階段など、木の温もりがあふれる住まいに、奥さん愛用の古い家具たちが自然に溶け込んでいます。「新築なのに動線が体の動きにしっくりとなじんで、昔から住んでいるような気さえします。キッチンからは家全体が見渡せて、子どもたちにもよく目が届き、家事がしやすいんですよ」。

大きな窓から外に広がる菜園の緑が一望できる木と塗り壁のLDK。これからこの空間に合う家具を少しずつそろえていくのも楽しみのひとつ
大きな窓から外に広がる菜園の緑が一望できる木と塗り壁のLDK。キッチンからは、家全体が見渡せる。これからこの空間に合う家具を少しずつそろえていくのも楽しみのひとつ
造作した対面式キッチン。ガスレンジを壁付けにすることで、シンクのある作業スペースが広くすっきりする。レンジまわりの壁の白いモザイクタイルが、インテリアのアクセントに
造作した対面式キッチン。ガスレンジを壁付けにすることで、シンクのある作業スペースが広くすっきりする。レンジまわりの壁の白いモザイクタイルが、インテリアのアクセントに
LDKの隣に配した造作の洗面台は、天板に洗面ボウルを組み込んだシンプルなつくり。右手奥には脱衣室と浴室がある
LDKの隣に配した造作の洗面台は、天板に洗面ボウルを組み込んだシンプルなつくり。右手奥には脱衣室と浴室がある

1階LDKの床はナラ無垢材、階段の段板はカラマツ無垢材、壁は質感豊かな塗り壁仕上げ。自然素材が醸すやわらかな素材感もこの家の大きな魅力だ
1階LDKの床はナラ無垢材、階段の段板はカラマツ無垢材、壁は質感豊かな塗り壁仕上げ。自然素材が醸すやわらかな素材感もこの家の大きな魅力だ
2階は階段ホールを中心とし、左右に子ども室をレイアウト。造作カウンターは、お子さんたちの学習コーナーとして使う予定
2階は階段ホールを中心とし、左右に子ども室をレイアウト。造作カウンターは、お子さんたちの学習コーナーとして使う予定
淡いピンク色のペンキで壁をセルフペインティングした子ども室。床は磨いて塗装したカラマツ合板で仕上げた。丁寧に磨き上げた板の美しい木目も、奥さんのお気に入り
淡いピンク色のペンキで壁をセルフペインティングした子ども室。床は磨いて塗装したカラマツ合板で仕上げた。丁寧に磨き上げた板の美しい木目も、奥さんのお気に入り

店舗スペースはまだ未造作ですが、来年の8月のオープンを目指して、これから楽しみながら店内を整えていくという奥さん。大好きなブルーベリーの苗を植え、菜園やテラス席も設える予定です。「夫が、中途半端に妥協した家にはしないほうがいいといって、温かく見守っていてくれたおかげで、心から望んだ住まいができました。まだまだやりたいことがいっぱい!」と声を弾ませます。    

お引渡しの後もずっと続く「住まいづくり」。暮らしの夢が詰まったこの家は、やがて果樹や野菜の豊かな緑に包まれて、たくさんの笑顔があふれる憩いの場所へと育っていくことでしょう。