地域トップクラスの断熱・気密性能を標準仕様とし、「次の世代へ継ぐ家」をテーマに省エネかつ健康的な住宅を提案してきた宮城県石巻市の「タカコウ・ハウス」。建物躯体と設備機器のトータルで高い省エネルギー性を実現した住宅にのみ与えられる「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」を4年連続で受賞するなど、その実績と技術力は高く評価されてきました。
そんな同社の家づくりに共感したKさんご夫妻の希望は、頑丈かつ暖かな家。東日本大震災をきっかけにそんな思いを強くしたといい、同社を選んだ理由を「地元の石巻市では『暖かい家をつくる』ということで評判でしたし、ゼロエネルギー住宅(ZEH)にも対応できる点も大きかった」と語ります。震災経験があるからこそ、ご夫妻はこれからのエネルギーのあり方についてもこだわりました。
高い住宅性能を前提に、デザイン面ではダイナミックな空間構成を希望。驚きは玄関を入った瞬間から始まります。贅沢な広さを確保した玄関ホールは、天井高5mをゆうに越える吹き抜け空間とし、正面には2階に続くスタイリッシュなスケルトン階段を配置。この開放感は隣接するリビングにも展開し、南側に大きく取った開口部からの光がリビング奥のキッチンにまで届きます。
2階は階段ホールを囲むように主寝室とふたつの子ども部屋を配置。陽当たりのよい南側にはテラスを設け、奥さんが希望していたユーティリティスペースをつくりました。「雨の日も心配ないし、洗濯物が乾いたらそのまま寝室へ置けるのがとても便利です」と笑顔です。
素材にも個性が光ります。床や壁には美しいウォールナットの無垢材を、和室の建具には樹齢100年以上のスギの無垢板を使用。カラーリングは白×黒とシンプルにし、木の質感を生かしています。さらにKさんは「自分でも体験したかった」と骨組みの建て方ではピン打ちを、テレビ背面の壁は奥さんや友人と3日間ほどかけてウォールナットの端材を手張りしました。
同社の髙橋晃樹さんは「Kさん宅のテーマはデザイン×性能。開放感のある贅沢な空間構成のうえ、大きな吹き抜けを設けているにもかかわらず、高性能断熱材の選定や充填+付加のW断熱、9.2kWの太陽光発電を設置するなど、圧倒的な性能でZEHを実現しました」と説明。妥協なき家づくりで、Kさんご夫妻の理想を叶えました。
注目すべきは、わずか1台の省エネエアコンで空間の隅々まで均質な温度環境を実現する全館空調システム「YUCACO(ユカコ)」で、月々のランニングコストはもちろん機器の入れ替えの際でも従来の全館空調システムと比較すると格段に経済的といいます。「開放感、温熱環境ともにいい家になったと思う」とKさん。自らも家づくりに関わり、より愛着は深まっているようでした。