高緯度の北海道こそ太陽を考えよう
次に高緯度の札幌を見てみましょう。北緯43.0度の札幌は、北緯35.4度の東京より約8度緯度が高いため、サンパスも大きく違ってきます(図6)。特に、冬至の南中時に高度がたった23.2度しかないのは驚きです。その分、建物の日影が北側に長く伸びることになります。
この南側隣棟の日影の影響で、南向きでも窓に当たる日射量は大きく減ってしまいます。窓からの取得日射熱は、図5の東京813.4MJに比べて札幌348.8MJと、6割もダウンしてしまいました。
南側の隣棟を離すことができれば、もちろん日当たりは改善します(図7)。敷地の制約から簡単ではない対策ですが、日当たり改善のためにお互いに工夫しあえることは色々あるはずです。
日当たりも譲り合う 身も心も温かい設計を
今回は、東京と札幌における日当たりについて、周辺建物の影響も考慮しながら考えてみました。その中で、建物をしっかり南正対させるという「地味な基本」が、夏の日射遮蔽と冬の日射取得に大事であることが確認できました。
あわせて現状の北側斜線規定では、住宅地の日当たりを十分確保できないことも明らかになりました。片流れの屋根に太陽光発電パネルをたくさん載せて屋根裏空間もたっぷり確保した、北側斜線規定一杯の住宅が最近は少なくありません。こうした家は自分だけはよいでしょうが、後ろの家にはほとんど日が当たらなくなってしまいます。エコハウスならぬ「エゴハウス」といわれないためにも、お互いに日当たりも譲り合い「あなたが建ててくれてよかった」と隣の人に言ってもらえる。そうした身も心も温かい設計が、特に高緯度の地域では必要になってきているのではないでしょうか。
※次回のテーマは<健康・快適なリフォームの3つのポイント>です。
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vol.007/断熱・気密はなぜ必要なのか?
vol.008/冬のいごこちを考える
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