増子建築工業 / 本宮市・Yさん宅 夫婦40代、母親、子ども1人
同居をきっかけに、奥さんの実家を二世帯住宅へリノベーションしたYさんご夫妻。それまでお母さんが1人で暮らしていた家は、1階が築50年以上、後に増築した2階は築30年ほど経っていました。「1階は隙き間風だらけで寒く、母は寝る時だけ2階に上がっていました。でも階段の上り下りが大変になってきたので、寝室を1階につくってあげたいと思いました」と思いを話すYさん。
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増子建築工業との出会いは、当時、家の近くにあった郡山市内の展示場に興味を持ったことでした。その後、「まどいの杜ギャラリー」を利用する機会があり、家の中を体感。すぐに気に入り、相談に訪れたといいます。「何社か検討しましたが、増子建築工業さんは材料から自社でつくり、大工も自社にいるので責任を持って施工していただけると思いました」と依頼の決め手を語ります。
増子建築工業は創業以来、木の家にこだわり、木材の調達から加工、施工・建具造作まで一貫して手がけています。県産の無垢材、内装に珪藻土や和紙を使うなど、自然素材でつくる家に定評があり、住む人を心地よさとやすらぎで包み込みます。
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ご夫妻が希望したのは、お母さんが住みやすい家にすること。提案されたプランは、今までどおりご近所さんがお茶飲みに立ち寄りやすいように玄関を入ってすぐの和室を残し、家の中心に配置した寝室から和室、風呂・トイレ、LDKに簡単に移動できる間取りでした。
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家族が集うLDKは、県産スギの無垢フローリングと珪藻土塗りの天井と壁が心地よく、大開口からの光と風が隅々まで届きます。構造上、取り外すことができない柱を生かし、対面キッチンの通路幅は奥さんとお母さんの2人が立ってもゆとりのある広さを確保しました。
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注目は建具のほとんどを木材で造り付けていることです。障子やドア、収納棚、手すりなど随所に職人技が光ります。お母さんがつかみやすいように収納の取っ手を木製にするなど、丁寧な気遣いも忘れません。
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「いろいろ相談にのっていただき、希望どおりの家が完成しました。毎日が快適です」とご夫妻は満足の表情で話します。母親思いのリノベーションは、お母さんの生活環境を変えることなく、家族の暮らしやすさを実現しました。刻まれた家族の歴史と思い出を引き継ぐ二世帯住宅は、これからも家族の歴史を紡いでいくでしょう。
設計者より
実家を二世帯住宅へリノベーションする際、刻まれた家族の歴史や思い出を引き継げるように、「あえて残す部分」の見極めを大切にしています。現地調査で訪問した際に、近所の方が立ち寄られる光景を何度も目にし、茶の間である和室をポイントにプランを考えました。
親世帯にとって生活環境の大きな変化は負担になります。そこでお母様が1日の多くを過ごす和室は「変えすぎないこと」を重視しました。増築した和室は以前と同じ真壁造りに。内障子を引込み戸にして採光性を高めました。仏壇と神棚は同じ位置ですが、仏壇は座って手を合わせられるように高さを下げました。
2階から1階へ移動させた寝室は家の中心に配置し、ドアを3ヵ所に設けて和室、風呂・トイレ、LDKへ直接行き来できるようにしました。
新たに設けたユーティリティや玄関クローク、駐車場と勝手口でつながるキッチンなど、利便性を大幅に向上し、全員が快適に過ごせる二世帯住宅となりました。