燃費半分以下のQ1.0住宅

私たちは、今から十数年前に高断熱住宅を建てるなら、省エネ基準住宅に比べて暖房エネルギーが半分以下で、快適に暮らせる家にしようという提案を始めました。当初は、今住んでいる家の暖房費を半分以下にして、快適に暮らせる家という提案だったのですが、日本には一戸建て住宅だけの暖房エネルギーの調査データがないため、省エネ基準住宅に比べて半分ということにしました。

このような住宅のQ値が北海道では1.0W/㎡K前後で、日本全体でも2.0W/㎡K以下になることから、「Q1.0住宅」と名付けました。表1にその基準を示します。QPEXで省エネ基準のモデルプランとして採用されている住宅で、20℃の家全体を暖房した時の床面積あたりの暖房エネルギーに比べて、当該住宅がどのくらい少なくて済むかでレベル1~4を設定しています。気候区分の1~7地域でその割合は多少異なりますが、それは現状の一般的な暖房エネルギーの半分以下に近づけるためです。

表1 Q1.0住宅の目標暖房灯油消費量
表1 Q1.0住宅の目標暖房灯油消費量

北海道は省エネ基準住宅ですでに一般住宅より少ない暖房エネルギーで済むようになっていますから、レベル1で55%とし、南に行くに従って40%まで下げてあります。このレベル1で大体一般住宅で寒い思いをして節約する生活から、その半分以下で、家全体を暖かくして快適な生活が送れることになります。私たちは、これから家を建てるなら、最低限このレベルで家を建てることを提案しています。

北海道~東北の寒冷地では、気候区分では1~4地域になりますが、一般住宅より、あるいは省エネ基準住宅で全室暖房をするのに比べて、灯油で500~600リットルも少なくなります。1リットル100円とすると5~6万円にもなります。しかも全室暖房の快適な暮らしができるのです。

しかし、これから先の40年を考えると、エネルギー価格が少なくとも2倍くらいになることを想定すると、もう少しレベルを上げたいと思う方も多いのではないかと思います。私は、レベル3を実現できれば良いと考えます。レベル1からのコストアップが比較的少なくて済むのがその理由です。レベル4となると、とても重装備になりハードルも高くなります。札幌版次世代住宅と呼ばれる札幌市が補助金を出す最高ランクの住宅や、ドイツから導入されたパッシブハウスに近いものになるのです。レベル3と4の差は灯油で100リットル前後ですから、このくらいならエネルギー価格が2倍になってもそれほど苦にならないでしょう。