Kさんは沿岸部の浪江町出身。以前はこの地でご両親が名物精肉店を営んでいましたが、震災の影響で避難を余儀なくされ、一家は離散状態に。2年半ほど前に避難指示が解除されたのを機に、Kさんは避難先の秋田県から奥さんを伴って故郷に帰還しました。
お二人の新居を手がけたタカハシホームは、良質な木を知り尽くした材木店を母体とする工務店です。木のプロとしての目利きを活かし、全国各地の良質な木材を追求してきました。家づくりに使用するのは、宮城県白石市にある約300坪の倉庫の中で、しっかりと天然乾燥させた木材たちです。同社が得意とするのは、強度や耐久性に優れたヒノキをふんだんに取り入れた骨太耐震住宅「檜乃家」です。こちらのKさん宅も、土台、柱、梁、桁にいたるまで贅沢にヒノキを採用した住まいとなっています。
完成した家は、ご夫妻が開業する施療院を併設した店舗併用住宅。たっぷりと使われたヒノキが香り、まるで森林の中にいるような空気の心地よさをもたらしてくれます。東北の中では温暖で住みやすい土地柄ながら、断熱性能は北海道基準並み。「真夏日でも、家の中に入るとスーッとした清涼感がありました」とお二人は口を揃えます。
また、店舗から住居スペースへ、そして住居スペースの玄関から収納室、キッチンへの動線もポイント。目の病気を抱える奥さんも、ストレスなく家の中を移動できるよう、効率的な動線が確保されています。
実は同社の家に先に惚れ込んだのは、Kさんのお父さんでした。「木造りの家であることはもちろん、家族のライフスタイルに寄り添ったプランニングや、家具職人によるオリジナルの造作家具も、父には魅力だったようです」とKさん。お父さんがご自身の新居建設の話をタカハシホームと進めていた流れで、Kさんご夫妻の新居も同社に依頼することになったそうです。
「当時、私たちは秋田におり、何度も打ち合わせに戻って来られませんでしたから、希望を伝え、あとは父とタカハシホームさんにお任せしました。この家は、精肉店なきあと、浪江に帰還した昔のお客さんたちが気軽に集える場所になりました。それが嬉しいです」とKさんは喜びを噛みしめていました。