結婚後、実家をリフォームして住んでいた、農業を営むKさんご夫妻。子どもたちの成長や生活スタイルの変化により、改善したい箇所がいくつもありました。
3年前、実家の隣の土地を取得。「もう後悔したくない。これが最後の家づくり」という覚悟でじっくりと家づくりに取り組んできました。これから歳をとっても1階だけで暮らせるような平屋風を理想に、何社もと見積もりやプランの相談を重ねました。しかし、和室・カーポートのほか、玄関は作業用と分けて2つ、また家事に関わる動線など、ベースとして外せないものを配置するだけでも、なかなか納得する間取りには辿り着かず苦労していました。
ある日、家電修理に訪れた人と家づくりの話題になり、そこでアクト建築工房さんの名前が上がりました。早速オープンハウスを見に行き、すぐに心が決まったそうです。既製品に頼らない丁寧な施工、生活することがしっかりと意識されている家事動線、「ほかの会社にはお願いできなかったことを頼めるかもしれない」という期待どおり、提案されたプランは希望がそのまま形になったものでした。施工期間中、何度も現場に足を運んだお二人は、職人さんの技術力に感動し、「こんなに丁寧につくってくれているんだから大切に住みたい」と心から思ったそうです。
ご夫妻のリクエストのすべてを叶えた新居には、玄関やキッチンにご夫妻が所有していた古い耐火煉瓦、リビング天井に取得した土地にあった納屋の古いタモ材を使用するなど、さまざまな素材が絶妙のバランスで配されています。とりわけ、リビングの窓からの眺めは遮るものが一切なく、キッチン側に目をやると十勝岳連峰の尾根が、和室の方へ振り返ると芦別岳を望む絶景が広がります。
実際に住んでみると、満足感はひとしお。特に、農作業から戻りリビングに入るまでのシューズクロークを兼ねた動線は秀逸で、家に農作業の名残を持ち込むことがない快適さは、家を訪れた同業者からも絶賛されるそうです。
農業という自然と向き合う仕事。生活時間や日々の作業は変わりませんが、家事や仕事に関するバックヤードの充実は心の余裕をもたらしたそうです。リビングからぐるりと見渡せる山々を見ながらの朝ご飯や小休憩に、これまでの生活よりもずっと豊かに過ごせていると感じるご夫妻でした。
秋が深まるころ、農作業は一通りの作業が終わります。冬は、人にとっても畑にとっても充電期間。この家で過ごす初めての冬をどのように過ごしますか?と伺うと、「2階の読書スぺースで山を眺めながら、淹れたてのコーヒーを片手にゆっくり読書を楽しみたい」とのこと。奥さんのささやかで贅沢な時間が待っています。