一次エネルギーで見る暖冷房エネルギーと換気動力エネルギー
冒頭にお話しした、電気を使って換気を補う高気密住宅の矛盾や、換気扇を2台使って熱回収を行う熱交換換気が電気を2倍使うことの問題を検討してみましょう。
図6は、住宅のエネルギー消費を計算するWEB上の国の計算プログラムで、換気動力を一次エネルギーで計算したものです。QPEXにはこのような機能はありませんから、単に消費電力を計算し一次エネルギーに換算した結果も載せましたが、若干小さくなりますがほとんど変わりません。一般的なACモーターを使ったダクト式換気システムでは、消費電力はかなり大きく、熱交換換気は第3種に比べて2倍かかっています。このことから、私たちは10数年前まで、高断熱住宅で熱交換換気は採用しなかったのです。
ところが10数年前頃から、DCモーターを使った機種が発売され、換気動力が大幅に小さくなりました。省電力型の第3種換気に比べても、熱交換換気の動力はわずかに大きいだけです。私たちは熱交換換気を使う場合は、必ずDCモーターの機種を採用しています。図7・図8にその例を示します。
第3種換気もDCモーターを使って徹底的に省電力を図ったものが図9の装置です。この製品は、比消費電力が0.04Wとさらに小さくなるのですが、これに比べると熱交換換気はやはり2倍以上の電力が必要ですが、絶対値が小さくなるのでその差は大きくはありません。
さらに、換気動力と暖冷房エネルギーを一次エネルギーで計算したものが図10です。換気システムがACモーターとDCモーターを使った結果を上下に並べてあります。熱交換換気で暖房エネルギーが削減されても、電力が2倍になって全エネルギーが増えてしまっては意味がないのですが、十分熱交換換気の効果は出ているようです。温暖地で、ACモーターを使った計算でほぼ同じになり効果がない結果が見られますが、DCモーターを使えば十分効果があります。
パッシブ換気という方式があります。これは住宅に排気筒を立て、自然換気で換気をする方式です。換気量が不安定になる欠点があるのですが、これで0.5回/hの換気が安定して行われたとすると、このグラフで第3種換気から換気動力を除いた結果と同じになります。DCモーターの熱交換換気は、これと比べても省エネルギー効果が有効だということがわかります。
熱交換換気の問題点
良いことずくめの熱交換換気ですが、問題点もあります。一つはコストが高いこと、もう一つは定期的にフィルターの清掃が必要なことです。
コストについては、ダクト式の第3種換気に比べて10数万円高で収まるようになりました。しかし、暖房費削減効果や乾燥を防ぎ冷たい外気が室内に直接入らないなどの効果を考えると、十分採用する価値があると考えます。
フィルターのメンテナンスは、天井設置の場合脚立が必要になり、高齢者には難しいことです。これを容易にするため、図7のように天井設置と壁付けの両方ができる製品をメーカーにお願いして開発してもらいました。壁に内蔵設置すると意外に邪魔になりません。図8のような天井裏に設置する機種でも、その上の階の床からメンテナンスできるようになっているものもあります。
このような機種を選んでも、居住者が掃除するかどうかは別問題なのですが、住宅引き渡しの時、定期点検業者と契約する、メンテナンス間隔を長く取れるように自動清掃機能を付けるなどをメーカーと検討しています。
このフィルター清掃は、第3種換気でも同じことなのですが、図9の製品はフィルターが全くなく、一年に一度ぐらい換気扇の羽根を掃除するだけになっています。そのために容易に羽根が取り出せるようになっているのですが、この清掃もやはりやるかどうかが問題になります。それでも一年に一度なら、住宅の定期点検の一環として行うこともできるわけです。
換気システムは、「機械」だけにメンテナンスが必要です。エアコンやボイラーなど住宅の設備機器と一緒に、定期的にメンテナンスをする体制、居住者の意識をつくっていく必要があると思います。