「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2019」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、宮城県仙台市を拠点に注文住宅を手がける有限会社ササキ設計の佐々木文彦さんです。


宮城県角田市・Hさん宅/夫婦60代
設計/(有)ササキ設計 佐々木 文彦
施工/共栄ハウジング(株)

地産地消をめざして

宮城県産の上質な製材を利用し、宮城の林業を後押ししていきたい。地域材を使う家づくりは、地元の里山の環境保全にもつながります。自分たちが住んでる環境を守り同時に地元林業が成り立つシステムづくりを目指し、無垢の木、漆喰、珪藻土、和紙、石などの自然素材を主な建築素材に用いて、現代の暮らしに合った住みやすく人にも自然環境にも負担の少ない家づくりを心がけています。

外観南側正面。大屋根の中に2階建ての建物がすっぽ りと入るようなフォルム。スギの板塀が昔ながらの日本家屋を彷彿とさせる
外観南側正面。大屋根の中に2階建ての建物がすっぽ りと入るようなフォルム。スギの板塀が昔ながらの日本家屋を彷彿とさせる
玄関土間からホールを見る。正面のFIX窓からは坪庭 が見え、土間は左手のリビングへと続く
玄関土間からホールを見る。正面のFIX窓からは坪庭が見え、土間は左手のリビングへと続く

森の木々を感じられるすまい

定年後の第二の人生を過ごすご夫妻のための住宅です。「木組みの家で、シックハウスの心配のない材料を使いたい」というお施主様のご要望があったので、宮城県産材をふんだんに使用した家づくりを進めました。

敷地内には、母屋、付属納屋(趣味のための作業場・ガレージ)、薪小屋があります。ご夫妻は畑仕事と野菜の漬物づくりが趣味でしたので、土間空間はそんなご夫妻の趣味を通じてご近所様との交流の場となるよう、靴を脱がなくともお茶をいただける空間としました。

玄関から続くタイル土間のサンルーム兼インナーテラス
玄関から続くタイル土間のサンルーム兼インナーテラス
ご主人と奥さんの寝室前に設けた屋根付きのサンデッキ。網戸兼用の格子戸は、ご夫妻の要望により木製建具としている
ご主人と奥さんの寝室前に設けた屋根付きのサンデッキ。網戸兼用の格子戸は、ご夫妻の要望により木製建具としている
建具を引き込むとリビングと一体になる小上がりの和室。小上がりの下部はキャスター付きの収納になっている
建具を引き込むとリビングと一体になる小上がりの和室。小上がりの下部はキャスター付きの収納になっている
木工事で畳ベッドを造作した奥さんの寝室。格子戸から、ほどよく外の様子が伺える
木工事で畳ベッドを造作した奥さんの寝室。格子戸から、ほどよく外の様子が伺える
木工事による造作キッチンとカウンター収納。中庭を眺めながらちょっとした作業ができる主婦コーナーを窓際に設けた
木工事による造作キッチンとカウンター収納。中庭を眺めながらちょっとした作業ができる主婦コーナーを窓際に設けた
玄関エントランスとポーチまわり
玄関エントランスとポーチまわり
キッチンからリビングを見る。右手はユーティリティ
キッチンからリビングを見る。右手はユーティリティ
木の香り漂うユーティリティ。奥の浴室も壁に木を張っている
木の香り漂うユーティリティ。奥の浴室も壁に木を張っている
2階ホールから書斎コーナーを見る。上部にはロフトを設けた
2階ホールから書斎コーナーを見る。上部にはロフトを設けた

 

■建築DATA
構造規模/木造・2階建て 
延床面積/213.72㎡(約64坪)

有限会社ササキ設計
デザイン住宅実例

〜水の森の家(移築再生)〜

リビングからキッチン・手芸教室を望む。梁と梁が交差する現し天井が印象的
リビングからキッチン・手芸教室を望む。梁と梁が交差する現し天井が印象的

〜森さい生医院(古民家移築再生の診療所)〜

吹き抜けの待合室から受付・廊下方向を見る
吹き抜けの待合室から受付・廊下方向を見る

〜古民家移築再生の家(T邸)〜

重なり合う柱や梁が120年以上前の気仙大工の精緻な仕事ぶりを物語る。リビングの一角には畳コーナーもレイアウトし、くつろぎの空間を演出

〜森と街を繋ぐ木組みの家〜

薪ストーブのあるリビングからダイニング方向を見る
薪ストーブのあるリビングからダイニング方向を見る

〜森と海を繋ぐ家〜

天然木をふんだんに使った空間が心地よいLDK。奥には客間にもなる和室を設けている

〜東北大学環境科学研究科 エコラボ
(青葉山にできた地産地消の木造キャンパス)〜

「エコラボ」南面外観。連なる木の格子が美しい
「エコラボ」南面外観。連なる木の格子が美しい