車のガソリン代を忘れるべからず
住宅の光熱費はもちろん重要ですが、その土地で居住するのにかかるコスト全体を考えることも大切です。移動手段、つまり車の燃料代も馬鹿になりません。図7に、住宅の光熱費(オレンジ色)と車のガソリン代(赤色)を示しました。
全国平均では、年間の車のガソリン代は戸建10.1万円、集合で5万円となっており、家の光熱費の半分程度の金額がかかっていることが分かります。特に車が日常生活で不可欠な地方で、ガソリン代が大きくなる傾向があります。
公共交通が発達した都市部では、車のニーズがあまりありません。東京に住んでいる筆者は、地下鉄やタクシーでことが足りるので車を所有していません。住んでいる集合住宅の駐車場代が月5万円もするというのが車を持たない最大の理由ではありますが、車の本体価格や保険料・ガソリン代を気にしなくてよいというのは、正直非常に気が楽です。
郊外では、車の費用が生活を圧迫しているケースをよく耳にします。ガソリン価格は世界市場で大きく変動しますし、値上りしたからといって車に乗るのをおいそれと減らすわけにはいきません。家を買うということは敷地や場所を買うことでもあるわけですから、車のエネルギーコストも忘れないようにしましょう。
太陽光発電の売電はけっこう儲かる
郊外の戸建では、住宅と車のエネルギー代が大きな課題です。一方で、太陽などの再生可能エネルギーを活用しやすいという、大きなアドバンテージがあります。太陽光発電を設置すれば自宅の電気消費を補うとともに、余った電気を売ってお金を稼ぐことが可能です。図7に、太陽光発電を設置した住戸における売電金額を青色で示しました。
売電金額の全国平均は14.7万円となっており、住宅の光熱費のかなりの部分を賄っていることが分かります。設置容量の全国平均は4.48kWであり、たいがいの戸建住宅で容易に設置できるサイズでも、売電が経済的に十分有効であることが分かります。沖縄の値が大きくなっているのは、天候の良さと6.07kWという設置容量の大きさが影響しています。
なお、図7では太陽光発電の自家消費分による住宅光熱費の低減効果を考慮していません。全国平均の2次エネルギー換算では、太陽光発電の発電量17.32GJに対して売電は12.30GJとなっており、発電した電気の3分の1が自家消費、残り3分の2が売電、という結果になっています。
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