「雑誌で実例写真を見る」「インターネットで口コミを探す」「モデルハウスに行く」。家づくりの情報収集には、さまざまな方法がありますが、その空間の居心地を体感するには、やはり「泊まる」のがいちばん。
京都の日本海に面した久美浜で、四季折々の自然を感じ、1日をゆっくりと過ごす。ホテルでありながら、丁寧な暮らしのヒントが散りばめられた「HOTEL HOLIDAY HOME」。見るだけで、思わず「こんな家に住みたい！」と感じる素敵な場所ですが、実際に滞在してみると、それ以上の気づきがありました。
時間によって変化する空間の表情を見つけに
「ただいま」。そう言って部屋に入るお客さんもいるというHOTEL HOLIDAY HOMEの客室。玄関を開けると、優しく包み込む木の香り。薪ストーブのある広間に入ると、声が響くほど開放感のある吹き抜け。暮らすようにリラックスして滞在してほしい。そんな思いでつくり上げた空間がゲストを心地よく出迎えてくれます。
場所は丹後半島の付け根にある、静かな久美浜湾のほとり。神戸に本店を置く、Bshopが手掛け、6000坪の敷地に点在する客室は、わずか4棟6室。そのすべてを、京都御所や迎賓館の改修など、伝統建築を得意とする安井杢工務店が設計から監修・施工まで担当。日本の伝統的な構造を用いつつ、北欧の民家のような雰囲気も併せ持っています。
なかでも2階建て一軒家の「スーペリア・スイート」は、「若いカップルが将来家を建てる参考になるように」と設計されたメゾネットタイプ。高い天井と塗り壁が印象的な部屋には、随所に自然素材が使われています。栗の無垢床材は肌触りがやわらかく、天然塗料仕上げで子どもが触れても安心。壁は一面が調湿性のある塗り壁で、室内の空気を快適に保っています。大きく取られた木枠の掃き出し窓からは光が射し込み、どの窓からも緑が見えるので、森に包まれているような感覚を抱きます。木張りの外壁や土壁も周囲の自然との一体感を生み出しています。
「どの建物もそうなんですが、やはりメンテナンスが大事です」とスタッフの方が言うとおり、自然素材は長い年月の中でどう向き合うかも大事なポイント。木張りの部分は退色がしやすいし、漆喰は汚れやすいのでこまめな掃除が必要です。Bshopのコンセプトである「everyday classic」とは、歴史あるいいものを長く使い続けること。そのためには愛着を持ち、時にはメンテナンスを施しながら育てていくことも必要です。使い込むうちに変化していく風合いを、経年変化という楽しみ方として捉えるかどうかは自分たち次第。家を建てるとは、家を育てること。どんどん自分たちでつくり上げていくのであって、完成はない。そんなところも家を建てる楽しみではないでしょうか。
日常から離れた自然の中で、何か新しい、普段は気づかなかったことを発見して持って帰る。それは、暮らすように泊まるというコンセプトのもう一つの側面です。いつものホテル滞在とは視点を変えて、建物や家具、さらに暮らし方まで、いろんなものを体験して、何が自分に合っているかを考えてみる。そんな機会として、この場所に訪れてみてはいかがでしょう。
Idea.1 素材
無垢の床材や木張りの天井、漆喰の塗り壁など、自然素材を多用した空間は素材選びの参考の宝庫。ほどよく経年変化した室内に身を置くことで、素材が月日を経てどのように育っていくかを体感できます。
Idea.2 インテリア
ハンス・ウェグナーをはじめとする家具のセレクトにも注目。ソファにじっくり座って寛ぎ感を確かめたり、一晩眠ってベッドの寝心地を体感したりと、お店で見るだけでは分からない家具の良さや自分との相性がわかるはず。部屋に配置したサイズ感を知ることで、レイアウトの参考にもなります。
Idea.3 ショップ＆レストラン
自然との一体感を感じるレストラン「Reception Garden」では海と山の幸が目白押し。雑木林には久美浜で生息している草花を残しつつ、四季折々で違う花が咲くように植樹されている。ここでしか手に入らない限定品を扱う「Bshop KUMIHAMA」もあり、まるで暮らしているかのように、食事や買い物、散策を楽しめます。
HOTEL HOLIDAY HOME所在地：京都府京丹後市久美浜町向磯2575 |
