住み継ぐことの価値に加え、住む人の想いを映し出した空間づくりを手がける仙台のN’s Create.。この夏、自社で運営しているライフスタイル提案型インテリアショップ「flaner and Premium(フラネ)」と共同してモデルルームをつくり上げました。

flaner and Premium(フラネ)では、N's Create.が提案するライフスタイルの形を実際に体感できる
flaner and Premium(フラネ)では、N’s Create.が提案するライフスタイルの形を実際に体感できる

室内に配したのは、ナチュラルで柔らかな雰囲気を持つ、温かみのあるインテリア。インテリアと空間づくりから導き出したデザインが響き合う、N’sCreate.の新しい試みに満ちた住宅です。

Sさんご夫妻とN's Create.の城浩太郎さん。「空間に余裕を持たせ、室内を広く感じてもらえるようなプランニングがキモでした」と城さん。間取りの意向だけでなくナチュラルなテイストの家具と調和するデザインに共感し、モデルルームとして公開後すぐにSさんご夫妻が購入を決めた
Sさんご夫妻とN’s Create.の城浩太郎さん。「空間に余裕を持たせ、室内を広く感じてもらえるようなプランニングがキモでした」と城さん。間取りの意向だけでなくナチュラルなテイストの家具と調和するデザインに共感し、モデルルームとして公開後すぐにSさんご夫妻が購入を決めた

以前は診療所だった一室を、住居としてコンバージョンしたこの物件。100㎡超えの広さを持つ稀有なポテンシャルゆえ、余裕のある収納やさまざまな使い方を考慮したユーティリティ、可変性を備えたフレキシブルルームなど、生活に厚みを持たせる「+α」のプランニングが可能になりました。

仙台の市街地に近い、好立地な場所に建つ築44年のビル。以前は耳鼻咽喉科があったこの一室は道路に面した大きな窓にその名残を残すが、一部を残して解体された後にモデルルームのための購入となったため、詳細な間取りが不明なのが残念なところ
仙台の市街地に近い、好立地に建つ築44年のビル。以前は耳鼻咽喉科があったこの一室は道路に面した大きな窓にその名残を残すが、一部を残して解体された後にモデルルームのための購入となったため、詳細な間取りが不明なのが残念なところ

Before&After図面

周囲をマンションが取り囲み、採光にやや難がある南側には寝室と水まわりを。道路に面した大きな窓から安定した光が入り込む北側には家族が集うLDK空間を配し、南北でシーンを分けた空間づくりも特徴です。既存の大きな窓を活かした、室内と外の境界が溶け合うインナーバルコニーも魅力。さらに室内を統一する白一色の中、玄関やキッチン脇に設えたモルタル造形の壁が微妙なニュアンスを表しているのもポイントです。

一部北側に突き出たスペースにはインナーバルコニーを設置。天地いっぱいに高さのある窓から光が取り込まれた明るい雰囲気が魅力。心地よさと穏やかな空気に満ちている
一部北側に突き出たスペースにはインナーバルコニーを設置。天地いっぱいに高さのある窓から光が取り込まれた明るい雰囲気が魅力。心地よさと穏やかな空気に満ちている
光に満ちたインナーバルコニー。室内から望めば、まるで額縁で景色を切り取ったように映る
光に満ちたインナーバルコニー。室内から望めば、まるで額縁で景色を切り取ったように映る

左右を壁に挟まれた場所はユーティリティとして一新。こぢんまりとしていながらもアイロンスペースや書斎としても使うことができる。南側の窓からは明るくやさしい光が入り込む
左右を壁に挟まれた場所はユーティリティとして一新。こぢんまりとしていながらもアイロンスペースや書斎としても使うことができる。南側の窓からは明るくやさしい光が入り込む
洗面室の壁にはタイルを張って、LDKとは違う雰囲気を演出。清潔感と落ち着きのある印象
洗面室の壁にはタイルを張って、LDKとは違う雰囲気を演出。清潔感と落ち着きのある印象
洗面室の壁にはタイルを張って、LDKとは違う雰囲気を演出。清潔感と落ち着きのある印象
バルコニーがあり柔らかい自然光に包まれる寝室は、あえてスタンドライトと間接照明のみに。シーンに適した照明選びにもこだわった。寝室横に配された5.3畳の広いウォークインクローゼットは、フレキシブルルームともつながっている

「部屋を見た瞬間、自分たちに合ったデザインが気に入りました」と、この住まいに惚れ込んだご家族がこの秋から新たな暮らしを紡いでいきます。奥さんにとっては新しいチャレンジに飛び込む場所に。「資格を活かして、自宅でベビーマッサージの教室を開きたいと思っているんです。これまでタイミングを逃してきたのですが、この家なら始められそうです」。

モルタル造形で仕上げた壁面が印象的な玄関。古めかしさの残る扉まわりとも調和している
モルタル造形で仕上げた壁面が印象的な玄関。古めかしさの残る扉まわりとも調和している
リビングとパントリーを隔てる壁にもモルタル造形を。壁面の表情を楽しむこともこの物件の大きな魅力
リビングとパントリーを隔てる壁にもモルタル造形を。壁面の表情を楽しむこともこの物件の大きな魅力
抜けの良いLDK。廊下からキッチンを通じ、リビング・ダイニングに直接アクセスできる
抜けの良いLDK。廊下からキッチンを通じ、リビング・ダイニングに直接アクセスできる

その想いが実を結んだのは、フレキシブルルームをはじめ住む人の暮らし方を底上げする空間があるからこそ。「今までの住まいは手狭だったので、子どもたちを広い部屋で自由に遊ばせられるのも楽しみ」と、ご主人もこれからの新しい生活を心待ちにしているようです。

リビングからゆるやかにつながる、住む人の自由な使い方が叶うフレキシブルルーム。北側の壁には2ヵ所の開口部を設け、新たに部屋を設けた際にも陽の光がしっかり届く工夫を取り入れた
リビングからゆるやかにつながる、住む人の自由な使い方が叶うフレキシブルルーム。北側の壁には2ヵ所の開口部を設け、新たに部屋を設けた際にも陽の光がしっかり届く工夫を取り入れた

施主としてゼロから手がけた家づくりではないにも関わらず、まるで初めからこの家族にフィットしていたようなつくり。それだけ、どんな暮らし方でも受け止める大きな可能性と柔軟性を兼ね備えた住まいであることが伝わります。設計だけでなく、インテリアからも考え尽くされたこの空間。暮らしのプロフェッショナルたちがつくったこの場所は、これからのリノベーションの先駆けになるだけでなく、少し先のスタンダードを形づくるモデルケースにもなりそうです。

キッチン