廊下をなくし空間を有効活用
木の風合いも心地よさを増幅

首都圏から地元・相馬市へのUターンを機に、Mさんのご実家が所有する土地に新居を構えることを決意したご夫妻。奥さんのご友人の紹介で、HAL建築設計に家づくりを依頼しました。「HALの金澤さんが設計した友人の家の、木をふんだんに使った雰囲気がとても素敵で。金澤さんは私たちの話を丁寧に聞いてくださり、望んでいた自由度の高い家づくりが実現できそうだと思ったんです」と、奥さんは振り返ります。

前面に畑が広がるのどかな地に立つMさん宅。外を楽しめる家のつくりも相まってお子さんたちが健やかに育つ環境。畑にはブランコがあり、友人家族が集まった際には小さな公園になる
前面に畑が広がるのどかな地に立つMさん宅。外を楽しめる家のつくりも相まってお子さんたちが健やかに育つ環境。畑にはブランコがあり、友人家族が集まった際には小さな公園になる
オフホワイトのガルバリウム鋼板とグレーの塗り壁の2色使いがおしゃれ。広いウッドデッキや庭は、家族の時間を楽しむ癒やしの場所
オフホワイトのガルバリウム鋼板とグレーの塗り壁の2色使いがおしゃれ。広いウッドデッキや庭は、家族の時間を楽しむ癒やしの場所

ご夫妻が希望したのは「大人も子どももワクワクするような家」。それに対し同社では、お子さんたちがのびのびと走り回れる広いリビング・ダイニング、キャンプ用品の積み降ろしに便利な通り土間、内と外の一体感を感じられるリビングの大開口と大きなウッドデッキなどを提案。それらを支える空間は、無駄のない『廊下レス』とし、床はオーク無垢、家具や建具の造作も木にこだわるなど、お二人好みの木質系の内装で統一感を演出しました。

玄関から通り土間を望む。壁には遊び心と実用性を兼ねたOSB合板を採用している
玄関から通り土間を望む。壁には遊び心と実用性を兼ねたOSB合板を採用している
通り土間とリビングの出入り口はガラス戸になっており、視線の抜けがさらなる開放感をもたらす
通り土間とリビングの出入り口はガラス戸になっており、視線の抜けがさらなる開放感をもたらす
25帖超の広々LDK。庭に面した南面の大開口が開放感を醸し出す。ダイニング側には出窓風収納を設えた
25帖超の広々LDK。庭に面した南面の大開口が開放感を醸し出す。ダイニング側には出窓風収納を設えた

大空間のLDKと広い庭が育む
笑顔いっぱいの家族時間

周囲の自然豊かな景観に溶け込む、芝生のある広い庭と大きなウッドデッキを備えたMさん宅。玄関から勝手口まで一直線につながる土間の中間部分にあるガラス扉を開けると、木の温もりに包まれた開放的なLDKが広がります。その西側に水まわりをまとめてレイアウト。効率的な洗濯動線や調理動線が家事の負担を軽減してくれます。2階には各個室と納戸のほか、Mさんのリモートワークやお子さんの勉強スペースとしても最適な造作カウンター付きのフリースペースも設けられました。

リビングと同じ床レベルでつながるウッドデッキはセカンドリビング的に使用できる
リビングと同じ床レベルでつながるウッドデッキはセカンドリビング的に使用できる
多彩な造作収納もMさん宅のポイント。目的別収納により、物が取り出しやすく、いつでもパッと片づけられる
多彩な造作収納もMさん宅のポイント。目的別収納により、物が取り出しやすく、いつでもパッと片づけられる

北側に配置したFIX窓からやわらかい光が入る2階フリースペース。お子さんの勉強やリモート作業など、多目的に利用できる空間
北側に配置したFIX窓からやわらかい光が入る2階フリースペース。お子さんの勉強やリモート作業など、多目的に利用できる空間
フリースペースからはMさんのご実家の庭を望むことができる
フリースペースからはMさんのご実家の庭を望むことができる

じっくりと時間をかけて打ち合わせを行う中で、いつしか三人家族から五人家族となったMさんご一家。「休日は家で過ごすことが増えました。窓が大きくて庭に出やすいので、夏は庭でテントを張ったり、バーベキューやプール遊びをしたりと、家族みんなで内と外を一体的に楽しんでいます」と笑顔を見せます。この日も家の中と庭を元気に走り回るお子さんたちの姿が印象的でした。

通り土間の途中にある手洗い。土付きの野菜を土間に運び入れた後などに重宝しているそう
通り土間の途中にある手洗い。土付きの野菜を土間に運び入れた後などに重宝しているそう
勝手口側から玄関方向を望む。左手には大容量の造作収納を備えており、右手のガラス戸の先にLDKが広がる
勝手口側から玄関方向を望む。左手には大容量の造作収納を備えており、右手のガラス戸の先にLDKが広がる
機能性の高い大容量玄関収納は造作仕様。靴以外にも子どもの外遊びの道具を収納できる
機能性の高い大容量玄関収納は造作仕様。靴以外にも子どもの外遊びの道具を収納できる
Mさん宅の「燃費」キーワード
UA値:0.47W/㎡K、C値:0.90㎠/㎡
01.住宅性能02.住宅性能
気密シートを貼ったうえで高性能断熱材を施工。特に天井はグラスウール300㎜とし、高断熱・高気密な快適空間を実現土間部分を除き、極力凹凸の少ない長方形の建物とすることで外皮面積を小さくし、外気温の影響を受けにくくした
03.パッシブデザイン04.動線プラン
南面に軒を張り出させて日射をコントロール。夏には太陽の熱を遮り、冬は太陽の熱を室内に取り込んで暖めるLDKは仕切りのないワンルーム空間とすることで効率よく暖冷房を行い、光熱費のランニングコストを削減

玄関ホールや廊下といった不要なスペース、細かく仕切られたスペースを省くことで、暖冷房の効率を向上させました。また、アウトドア志向のライフスタイルに合わせて、たっぷりの陽射しを取り込むサニタリールーム、玄関と勝手口の扉を開け放てば風が通る土間空間など、パッシブデザインを重視しています。間口いっぱいに広がるウッドデッキを媒介として、内と外をトータルで楽しんでいただける空間設計もポイントです。(設計者より)