旭川市内の閑静な住宅街に立つTさんご一家の住まい。「若い頃にヨーロッパ旅行を経験して以来、海外のインテリアに憧れを抱くようになりました」と、奥さんが笑顔で話す自慢の新居は、ルイスポールセンの照明や、フリッツ・ハンセンの名作チェアが室内の表情を豊かにし、木や石の自然素材が美しく調和する上質な空間です。
築30年以上経つ旧居を取り壊し、「憧れのインテリアが似合う家」の実現を決めたTさんご一家。依頼先は「画一的ではなく、デザイン性があってすべての家にオリジナリティーを感じた」と、Tさんが仕事の関係で付き合いのあったアクト建築工房一択でした。
同社は旭川を拠点に、「人と地域に寄り添った、スタイルのある暮らし」を提案する工務店。プランニングはもちろんのこと、豊富なインテリアの知識を活かした住まい全体のコーディネートも魅力で、「打ち合わせはいつも時間を忘れるほどに楽しかったです。家具や照明の歴史的背景や物語を知ることで、より深みを感じることができました」と、奥さんは家づくりを振り返ります。
プランは、歳を重ねても快適に暮らせることを考えて、LDKや水まわり、寝室を1階に集約し、書斎や子ども部屋を2階に配した平屋的な構成に。キッチンはクォーツスラブとチェリー材を組み合わせた造作で、L字型を基に配膳やバックヤードへ向かうための通路を設けた独自のフォルムです。玄関から多方向にアクセスできる動線や、ユーティリティやクローゼットなどのバックヤードも大きなボリュームを確保して生活の雑多な情報を見せない工夫をするなど、美しさの中に暮らしやすさを促す機能性を内包しています。
家族が集う大きな吹き抜けのあるLDKは、窓の向こうに隣家の緑が映え、ハイサイドライトが青空を切り取る開放的な大空間。「ここが住宅街であることを忘れてしまいそう」と、周辺環境を読み解き、土地のポテンシャルを最大限に引き出す設計がTさんご一家に新鮮な喜びをもたらしています。
家も、暮らす人も必ず歳を重ねるもの。自然素材の経年変化を楽しみながら、上質な家具や照明とともに、世代を超えて継がれていく。アクト建築工房の家づくりのスピリットが反映されたいつまでも色あせない住まいとなりました。「旧居では来客を迎えることはほとんどありませんでしたが、新居は人を呼びたくなる家になりました」と、笑顔で語る奥さんでした。