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気候の厳しい北海道は、住宅の高気密・高断熱化が必須
近年、家づくりを考えている人なら、「ZEH(ゼッチ)」や「長期優良住宅」など、気密・断熱性に優れ、国が定める住宅性能の基準値を満たした高性能住宅について、一度は聞いたことがあるかと思います。気候の厳しさが際立つ北海道においては、間取りやデザインと同じぐらい、「住宅性能」が家づくりの重要なポイントになります。
有数の寒冷積雪地である北海道では、以前から外部の影響を受けにくい均一な室内環境で一年中快適に過ごせる高性能住宅の普及が進められてきましたが、最近は北海道も夏が想像以上に暑くなってきて、住まいの高気密・高断熱化がさらに注目を集めています。
ちなみに北海道は、国が定める次世代省エネ基準で地域区分1、2に該当し、断熱性能を表す数値であるUA値の基準値が「0.46W/㎡・K以下」となっています。加えて、「家にどれだけの隙間があるか」という住宅の気密性能を表す数値であるC値に関しては、国が定めている高気密住宅の基準はありませんが、一般的に「1㎠/㎡以下」だと気密性が高いと言えます。この2つの性能数値は小さければ小さい程、高性能な住宅になります。
さて、次は「一年中過ごしやすい快適さ」「健康問題のリスクが少ない安心感」「長期的な観点での家計負担軽減」など、なぜ高気密・高断熱な住宅にする必要があるかを証明するさまざまなメリットについて見ていきましょう。
住宅の高気密・高断熱化のメリット
光熱費の削減
高性能住宅は、冬暖かいだけでなく、夏も涼しく過ごせるとよく聞きます。これは建物を高気密・高断熱化することで、季節を問わず外気温の影響を受けにくい環境にできるからです。外からの冷たい/暑い空気の室内への侵入が少ないということは、室内の空気の外への漏れも少ないということ。ボイラーやエアコンなどの暖冷房機器を効率よく利用でき、エネルギー消費を抑制できます。
少ないエネルギーで一定の温度を保てるため、光熱費の削減にもつながり、家計の負担を減らしてくれます。住宅の面積や間取りにもよりますが、そもそもの暖冷房器具の台数を少なく済ませられる場合もあります。
ヒートショックのリスク軽減
皆さんは、ヒートショックという言葉を聞いたことがありますか?例えば寒い冬、暖房の効いたリビングから寒い洗面脱衣室で衣服を脱ぎ、熱いお湯に入るといった状況だとしましょう。
このように急激な温度変化があると、その影響で身体の血圧や心拍数が大きく変化し、健康障害を起こします。それがヒートショックで、年齢に関係なく誰にでも起こりますので注意が必要です。建物を高気密・高断熱化させ、局所的ではなく全館暖冷房を採用。年間を通して均一に室内の温熱環境を整えることで、このヒートショックのリスクは格段に下げることができます。
建物の耐久性の向上
高気密・高断熱な家づくりは、住まい手だけでなく、建物の健康面でも直接的な影響を与えます。寒い家でよく見る結露は、カビの発生につながり、建物の劣化の原因になります。しかし高性能住宅の場合、室内全体で一定の湿度が保たれるので結露が発生しにくくなり、大切な住まいを長持ちさせることができます。建物のいい状態を長く維持できるということは、メンテナンスコストの面でも有利に働きます。
防音性の向上
住まいの高気密・高断熱化の副産物として挙げられるものに、防音性の向上があります。厚みのある断熱材の施工やトリプルガラスの採用に付随し、自然と防音性が向上します。
壁が屋外の騒音を遮断し、断熱材が室内の音が屋外に漏れるのを防いでくれるので、より外を気にせず生活することができます。小さい赤ちゃんがいるファミリーやペットと暮らしている人には、防音性の面でも高気密・高断熱住宅をおすすめできるといえます。
メリットが多い高気密・高断熱住宅ですが、どうしても最初の建築費用が高くなりますので、イニシャルコストとランニングコストのバランス配分をよく考える必要があります。またきちんとした気密施工がされていない場合、壁の中で内部結露を起こしてしまうこともありますので、施工業者の技術力も重要になります。
高性能住宅だからこそ「換気」が重要!
換気は、健康・快適な暮らしのもうひとつの「カギ」
空気中のさまざまな汚染物質を室内から外へ排出し、快適な室内環境を確保するために必要なのが「換気」。昨今の新型コロナウイルスの影響で、換気について興味を持つ人がたくさん増えました。
日本では「24時間換気システム」が義務付けられていますが、実は、住まいの気密・断熱性が高まってきた初期、汚染物質が室内にたまり健康に害を与えるケースがありました。シックハウス症候群や化学物質過敏症などの健康問題のことです。こういった背景もあり、高性能住宅は気密・断熱・換気のバランスが大事。どちらかが秀でているだけでは、本当に健康・快適な住まいは実現できないのです。
「パッシブ換気」北海道発祥の画期的な暖房換気システム
住宅の換気システムには、さまざまな種類がありますが、冬期間の内外温度差による浮力を利用する換気方式に「パッシブ換気」というものがあります。気密・断熱機能を高く保った建物の床下空間に集中的な自然吸気をし、暖房機器でその冷外気を予熱し、暖めた空気を自然循環させることで、全室の暖房と換気を同時に行うという北海道が生んだ画期的な暖房換気システムです。
高気密・高断熱がパッシブ換気には必須!
このパッシブ換気を計画どおり機能させるために重要になってくるのが、「高気密・高断熱」です。パッシブ換気の場合、床下がチャンバーとして働き、下から上へと空気が流れることになるので、空気のよどみができにくいのが特徴。
しかし、気密・断熱性が低い場合は、外部からの空気の流入がその流れの邪魔をしてしまいます。断熱をしっかり取って温度ムラの少ない室内環境を確保したうえで、気密をしっかり取って計画換気の入り口と出口を明確にします。そうすることで、換気経路や換気量を正確にコントロールできるようになり、パッシブ換気も本来の力を発揮できます。
パッシブ換気のメリット
24時間新鮮な空気
自然の力を利用するので、留守や停電のときでも常に換気が行われます。気温に応じて給気口が開閉し、取り込んだ新鮮な空気を家全体を循環させるので、結露やカビが発生しにくくなります。建物全体に暖気が循環するため、温度ムラが最小限となり、暮らしの快適性が向上します。
ランニングコスト
冷たい外気を集中的に予熱処理して活用するうえ、機械換気の排気による強制的な熱の排出がないため、少ないエネルギーで大きな暖房・換気効果が期待できます。自然の力を動力にするため電気代がかからず、暖房にかかるランニングコストを削減することができます。
メンテナンスの容易性
自然吸気と予熱処理を行う床下は、常に乾燥している状態になるため、土台の腐朽が起こりにくく、建物の耐久性を高いまま維持できます。そして、スイッチやフィルター、ダクトがないため、住まい手側のメンテナンスが基本的に不要。換気設備の掃除も発生せず、壊れて交換ということもないので維持費用もかかりません。
スペースの有効利用
暖房機器があるのは床下のみで、各部屋には暖房機を設置する必要がなく、室内空間を広く使うことができます。それに伴い家具の配置の自由度が高く、掃除もしやすくなるメリットがあります。小さな子どもや高齢の家族のやけどの心配もないので安心です。
パッシブ換気を採用した高気密・高断熱住宅4
きれいな空気と寒い冬でも温度差のない暖かさを保てるパッシブ換気システムの先駆者「大平洋建業」は、高い品質と性能はもちろん、確かな技術と親身な姿勢で幅広いニーズに応えています。
パッシブ換気システムに加え、天然健康内装材や自然塗料、無垢の床材など、自然素材を多く使用することで「人と環境に優しい家づくり」を実現している大平洋建業。構造材にも道産木材を採用し、輸送コストのカットによるCO2削減にも貢献しています。
ここではそんな大平洋建業がさまざまなスタイルを実現した、札幌のパッシブ換気システム住宅の実例を4軒ご紹介します。
Case.1 健康な暮らしの希望を叶えたパッシブ換気の省エネ住宅
■ニセコ町・Mさん宅 夫婦40代・30代、子ども1人
■UA値(断熱性能)0.26W/㎡・K ■C値(気密性能)0.40㎠/㎡
羊蹄山に抱かれた自然豊かなニセコ町で暮らすMさんご一家。旧居は町内の集合住宅で、冬は寒く、夏はカビに悪戦苦闘するなど、快適とは言い難い住環境だったといいます。将来を見据えて家づくりを検討したMさんは、5年前に大平洋建業で新築をしたという妹に勧められ、同社での家づくりを決意しました。「住宅性能の知識がほとんどなかった私たちですが、妹家族が快適に暮らしていることを聞いていたので、仕様に関しては信頼してお任せできると思いました」と、Mさんは話します。
完成した新居はZEH Oriented仕様で、UA値0.26を実現した「断熱等級6」の高性能住宅。「いざ暮らしてみるとその暖かさに驚きました。室内がくまなくずっと暖かいので、布団から出るのも億劫じゃないんです。洗濯物もすぐ乾くので、家事の負担も軽減されています」と、新居で過ごす初めての冬は想像以上の快適さだったといいます。また、戸建てで暮らしている知人と光熱費を比べて、かなり経済的であることを知ったそう。暖かい新居で、パッシブ換気✕高気密・高断熱の力を日々実感しているMさんご家族です。
Case.2 家族みんなが健やかに暮らせる空気がきれいな家
■札幌市・Mさん宅 夫婦30代、子ども1人
■UA値(断熱性能)0.34W/㎡・K ■C値(気密性能)0.20㎠/㎡
子どもの小学校入学までには家族の生活拠点を定めたいと考えていた転勤族のMさん。「パッシブ換気は家族みんなの体にも良さそうで、機械に頼らない自然な感じも好印象でした」と語るMさんですが、それには理由がありました。実はお子さんとMさんはアトピー性皮膚炎、奥さんは喘息の持病を持っていたのです。「転勤先で住んでいた賃貸住宅は、寒さと結露、カビに悩まされ、家族が体調を崩すことがしばしばあったんですよ」と、奥さんは旧居での暮らしを振り返ります。
完成した新居は約36坪のゆとりのあるサイズ。リビングは天井高と光のコントラストが心地よい開放感を演出します。「高気密・高断熱で、冬は足元からポカポカと暖かくて快適。そしてパッシブ換気のおかげで、室内の空気がとても爽やかなんです。気づいたら喘息も出にくくなった気がします。安心して暮らせる住まいができました」と、嬉しそうに話す奥さんです。
Case.3 高い技術で実現したパッシブ換気の二世帯住宅
■札幌市・Sさん宅 夫婦40代・30代、子ども1人、母70代
■UA値(断熱性能)0.24W/㎡・K ■C値(気密性能)0.30㎠/㎡
Sさん宅は、1階に親世帯、2階に子世帯と分けた上下分離型の二世帯住宅。メインとなるLDKは、上下階とも南からの光が心地よい仕切りのない大空間です。
Sさんご一家が新築を検討していた際に、重要視したのは住宅性能。高気密・高断熱な家を思い描きながら家づくりの知識を深めていく中で、心を捉えたのが「パッシブ換気」でした。「新鮮な空気が循環しているので、家中どこにいても温度差が少ないなど、知るほどに魅力を感じました」。ヒートショックや夏場に室内で引き起こす熱中症などの健康被害を考えると、高い性能を備えたパッシブ換気の住まいは同居する母親にとっても最適だと考えたのです。そうしてパッシブ換気を主体に依頼先を探していたところ見つけたのが大平洋建業でした。
同社の高い技術でつくり上げた新居の居心地は、快適そのもの。「換気もしっかりされているので、母も喜んでいます」と、Sさんも大満足の様子です。
Case.4 パッシブ換気の家とペットのいる暮らし
■札幌市・Sさん宅 夫婦30代・20代
結婚を機に新築を決意し、友人の建築家に設計を依頼したSさんご夫妻。「建築家とのコラボもされていて、パッシブ換気の実績があり性能面にも信頼がありました」という理由で、要となる施工先として大平洋建業が選ばれました。
賃貸時代は冬の寒さに苦労したというSさん。パネルヒーターが室内の美観を損ねることも気になっていたそうで、給気口から取り込まれた外気を床下で暖め、自然の力で家中をムラなく換気するパッシブ換気はSさんご夫妻にぴったりでした。
住まいの中心に据えられたプロ仕様のボルダリング壁が印象的なSさん宅。大きな吹抜けが心地よく、モルタル調のフロアタイルを敷いたこの場所はまるで外部空間のようです。引っ越しを機に、3匹の猫も家族の仲間入りしましたが、ペット特有の匂いがまったく気にならないのには驚いたそうです。「室内は温度差がなくて適温で、ペットの匂いにも悩むことなく快適です」と、奥さんも笑顔です。