雄大な山と海に囲まれた小樽・春香山。春夏秋冬、四季折々の魅力を大自然に映すこの場所に、「春」と「香」と名付けた、三五工務店の新しいモデルハウス2棟が誕生しました。
自然を謳歌する暮らしは、家だけで完結するものではありません。窓の向こうに広がる海や山、木々を揺らす優しい風、白く染まる雪の心地よさ。大切なのは取り巻く環境すべてを暮らしの魅力に変換することです。
2棟のモデルハウスがそれぞれ異なる切り口で提案するのは、北海道と向き合い、道産材の魅力を最大限に引き出した家づくりをする三五工務店が追求した「自然の中で過ごす醍醐味」と「北海道らしい暮らし」。大自然を味わう特別感、使い勝手の良い心地よさ。「春」と「香」が各々に魅せる自然とともに過ごす家づくりを体感してきました。
この記事の目次
モデルハウス「春 -SHUN-」/つくり手より
モデルハウス「香 -KAORU-」/つくり手より
Replanより
モデルハウス「春 -SHUN-」
豊かな大自然の中で過ごす北海道の日常
「春」のコンセプトは、北海道の四季の移ろいを五感で楽しめる暮らしの提案。都会の喧騒から切り離されたヴィラをイメージしながら、周辺の自然環境を取り込んだリビングの大開口や各室のピクチャーウィンドウを設えました。
また吹き抜けで各室をつなぎ、ボリュームや開口、仕上げの処理によって、室内でありながらも外にいるような空間を体感できるよう意識しました。リビングの造作ソファは、親しい人と薪ストーブを楽しんだり、無垢フローリングの温もりを肌で感じられるように座面を低くしています。
多様なライフスタイルの変化によって、自然環境の中で暮らすという選択肢が現実的になってきています。郊外で暮らすという新しい提案を「春」で表現しました。(設計士 山口 圭以さん)
空間になじむ美しいキッチンを提案
「春」のキッチンはセパレート型。ダークトーンにまとめたリビングに対して、天井高や開口を抑えたキッチンは、シンク側に明るさやシーンのスイッチを意識した白のデクトンをおすすめしました。この素材はニリウム(元素記号のゼロの意)という柄で、イタリア・ルネサンス時代の古紙のような風合いを演出したデザインが特徴です。キッチンの床レベルを下げることで、3m幅の大判2枚をダイニングとフラットにつなげています。コンロ側の素材はオーストリアのメーカーであるフリッツ・エガー社のメラミンを採用。リビングフロアに合わせて小口にはタモを使用し、デクトン、メラミンと合わせて3つの素材に絞っています。
キッチンは単に作業をする場所ではなく、大切な居場所であり、住まい全体のデザインにも大きく関わるエリア。「春」はヴィラをイメージした空間のため、BOSCHの食洗機や収納の充実で機能性を高めつつ、冷蔵庫など生活感が出てしまう要素は扉で隠すなど、空間になじみながら使い勝手の良い、美しいダイニング・キッチンを一緒につくらせていただきました。(キッチン設計・製作 リネアタラーラ・ノルド事業部 堀川 洋志さん)
三五工務店らしい道産材と多素材が心地よく同居
森を背負って立つ「春」の外壁は、濃い色のジョリパットを使用し、ラフな表情を描くエンシェントブリック仕上げに。森側はガルバリウム鋼板、目線に近いアプローチまわりの仕上げには道南スギを採用しました。内部は外壁と連続するジョリパット、シューズクローゼットやリネン庫などのバックスペースは「蔵」を想起する札幌軟石をあしらうなど内外に多彩な素材を用い、タモの無垢床やカラマツの構造材といった三五工務店らしい素材を織り込むことで、北海道の森に応答する土着的な雰囲気を演出しました。
2階は南側が折り上げ天井から構造材を現す和室やヒノキの壁の浴室からなる和の趣、北側はホテルライクなバスや、緑を映すスリット窓のあるシンプルな寝室といったモダンな佇まい。異なる2つのテイストは、眺望に向かって吹き抜けを斜めに走るブリッジで結ばれており、夜は間接照明や外構照明が織りなす光の演出で艶やかな表情を魅せます。
流れる時間や季節の移ろいを表す、この地に立つべき唯一無二の空間を意識して計画した「春」。非日常のくつろぎのひとときは、きっと日常にも豊かさをもたらすでしょう。(設計士 山口 圭以さん)
モデルハウス「香 -KAORU-」
平屋のニーズに応える「35 STANDARD HOUSE」の新提案
「香」は三五工務店の企画型住宅「35 STANDARD HOUSE」シリーズの一環で、昨今高まる平屋のニーズに応えた新しいタイプのモデルハウスです。想定しているのは、子育てがひと段落した夫婦二人で暮らす住まいで、2階にロフトや予備室を設けた「ほぼ平屋」の空間。
そのうえ、これからのスタンダードを意識し、三五工務店の標準仕様を踏襲しつつも、これまでにない新たな取り組みも盛り込みました。また、自然に囲まれた春香山のポテンシャルを最大限に引き出せるよう、内と外をつなぎ、敷地全体で森のある暮らしを楽しめるプランづくりを意識しました。
統一感を追求した意匠に、ディテールを整える新たな取り組み
1階は21坪とコンパクトながらも、寝室や水まわりなど暮らしに欠かせない要素を集約し、ワンフロアで暮らしを完結する機能的なプランの「香」。春香山の雄大な景色をリビングのワイドな大開口で捉えつつ、森に意識を促すように角度を振ったキッチンカウンターや広いテラスが、面積以上の開放感をもたらします。
外観の斜め角度が目立つ「香」ですが、玄関ポーチや寝室にも斜めの角度を採用し、デザイン的な遊び心とともに統一感を演出しています。畳のロフトや洗面台のタイル使いなど、想定する年齢層に合わせた和のテイストも織り込みました。
新たな取り組みとして、勾配天井の開放感をあるがまま感じられるよう、屋根と下地との間に、板状のフェノールフォーム断熱材を入れた複合スタイルの断熱処理を施すことで、断熱性能を維持しながら梁の現しを実現させています。ほかには、木製よりもスリムな幅を実現するFRPグレーチングをカットしたガラリ、構造耐力上必要な火打梁を省略するための鉄製プレートなど、美観維持に特化した部品提案などで、細かなディテールを整え、上質で開放感のある空間を創出しました。(設計士 田中 伸明さん)
2棟それぞれの過ごし方、自然との向き合い方
北海道と北海道の人々に寄り添い、いごこちのいい暮らしと豊かな街づくりに励んでいる三五工務店。視界いっぱいに広がる大自然を室内で満喫しながら過ごせる空間が「春」だとすると、「香」は敷地全体で自然を楽しめるよう積極的に内と外をつないだ空間。時間を忘れてくつろぐ、森とともに日々の営みを続ける。同社が提案する「春」と「香」は、それぞれ異なる視点で、森と家との関係を築いているように感じます。
大きなテラスやサウナなど、屋外のアクティビティー要素がある「香」は外に広がっていく空間で、「春」は森を全面に映す大開口を主役に景色を室内に引き込むなど、森との距離や楽しみ方もそれぞれ。自分たちの暮らしにマッチする過ごし方や景色の切り取り方、素材の組み合わせ方など、「春」と「香」は住宅に反映するさまざまなヒントを2棟で比較・検討することができる空間となっていました。
三五工務店仕様の高性能を維持するデザイン
大自然は暮らしを豊かにする一方で、夏の暑さや冬の寒さなど、その厳しさを伴うもの。雄大な景色を享受しながらも、春夏秋冬快適に過ごすことのできる温熱環境をしっかり整えることは、北海道での暮らしに欠かせません。
三五工務店の家といえば、道産材をはじめとした天然の素材をふんだんに使用した素材感を楽しめるのと同時に、高い住宅性能による快適さにも定評があります。春香山の森の中に佇むこの2棟のモデルハウスも、もちろん高断熱・高気密の高性能住宅。天井を貫く大開口を可能にする特注の木製サッシ、梁現しのための屋根断熱の工夫など、これまでに培った知見の上に築いた新たな試みを織り込みながら、従来どおりの高い住宅性能を維持しています。
カラマツの構造材やタモの無垢床、道南スギなど、三五工務店おなじみの素材も、見せ方や素材の組み合わせ方、使い方で雰囲気も様変わり。同じ仕様、同じ素材でも、設計の妙と周辺環境によって可能性は無限に広がります。「春」と「香」は、確かな技術力とともに、三五工務店が考える「北海道らしい暮らし」の新たな選択肢が体感できるモデルハウスです。(Replan)
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