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転勤族だったAさんは10年先のリタイア後の生活に備え、日高山脈を望む農村エリアに暮らしの拠点を構えたいと考えていました。「古民家や洋館、古いものが好きで、住まいも中古物件のリノベーションを想定していました」。

雑木林に抱かれるように佇むAさん宅。既存の外観フォルムはそのままに、屋根と外壁の補修を行った
雑木林に抱かれるように佇むAさん宅。既存の外観フォルムはそのままに、屋根と外壁の補修を行った
築40年の建物の雰囲気を壊さぬよう、玄関ドアはストックしてあったリユース品を化粧直しして利用した
築40年の建物の雰囲気を壊さぬよう、玄関ドアはストックしてあったリユース品を化粧直しして利用した

インターネットで物件を探し、雑木林に立つ築40年ほどの住宅を発見。「立地とモダンな雰囲気の建物が、希望にぴったり。ここに庭や畑、小道を設えてと夢が膨らみました」。そう語るAさんでしたが、空き家で10年以上経過した建物は傷みや劣化がひどく、すぐに住める状態ではありませんでした。

リビングにつながる玄関ホールは、あえて明るさを抑えた。明暗のコントラストが、数字では測れない広がりを演出。「暗い廊下を抜けると、パッと視界が開ける感じが楽しくて、とても気に入っています」
リビングにつながる玄関ホールは、あえて明るさを抑えた。明暗のコントラストが、数字では測れない広がりを演出。「暗い廊下を抜けると、パッと視界が開ける感じが楽しくて、とても気に入っています」
上下2面に分かれた2対の開口は、既存のデザインを生かして、気密性の良いサッシに交換。趣ある窓に切り取られた木立は絵画のよう
上下2面に分かれた2対の開口は、既存のデザインを生かして、気密性の良いサッシに交換。趣ある窓に切り取られた木立は絵画のよう

そこでAさんは、リプランで見つけたいかすハウスにリノベーションを依頼。「長く心地よく住むためには、予算を床や断熱の手当てにしっかり充てるのが良いと、コスト配分を明確に説明してくれたので、安心してお任せできると思いました」。

既存の建物の魅力であった高い吹き抜けと板張りの壁、窓の配置はそのまま生かして、床や壁、サッシを一新。雑木林の彩りと陽射しが満ちるリビングは、サンルームのような心地よいくつろぎ空間に生まれ変わった
既存の建物の魅力であった高い吹き抜けと板張りの壁、窓の配置はそのまま生かして、床や壁、サッシを一新。雑木林の彩りと陽射しが満ちるリビングは、サンルームのような心地よいくつろぎ空間に生まれ変わった
暖房は「戸建て暮らしの醍醐味を楽しみたい」と、薪ストーブを採用。既に廃番になっているヨツールのクラシックなストーブが、空間にしっくりとなじむ。断熱改修を行ったことで、冬も薪ストーブ1台で家の隅々まで暖かい
暖房は「戸建て暮らしの醍醐味を楽しみたい」と、薪ストーブを採用。既に廃番になっているヨツールのクラシックなストーブが、空間にしっくりとなじむ。断熱改修を行ったことで、冬も薪ストーブ1台で家の隅々まで暖かい

いかすハウスは傷みが目立つ屋根や床、壁の修繕を急いだほうがいいとアドバイス。本格的な積雪期に入る前に外まわりの補修工事を終え、翌春から間取り変更や内装工事を行いました。

リユース品を活用したキッチン。既存の浴室スペースはパントリーに変更し、玄関ホールとリビングにつながる回遊動線を採用
リユース品を活用したキッチン。既存の浴室スペースはパントリーに変更し、玄関ホールとリビングにつながる回遊動線を採用
既存の和室は、ユーティリティに変更。シンプルな洗面台は造作仕様
既存の和室は、ユーティリティに変更。シンプルな洗面台は造作仕様
玄関ホールに隣接するトイレ。壁のように見える木製造作吊り引き戸を採用
玄関ホールに隣接するトイレ。壁のように見える木製造作吊り引き戸を採用

2022年10月、既存の板壁や高い吹き抜けなど古き良き佇まいを生かしたリノベーションが完了。「湿気が減って、どこにいても暖かく、見違えるようです。プロの仕事のすごさを体感しました。この空間に似合うインテリアを少しずつ整えていくのを、冬の楽しみにしたいと思っています」と、Aさんは声を弾ませて語ってくれました。

建物の形状をそのまま生かした高い天井には、ハイサイドライトが設置されている。室内窓はリビングの吹き抜けに面する。壁には、Aさんが吟味して選んだ壁紙を貼った
建物の形状をそのまま生かした高い天井には、ハイサイドライトが設置されている。室内窓はリビングの吹き抜けに面する。壁には、Aさんが吟味して選んだ壁紙を貼った
2階の個室は、3.7帖の書斎に間仕切りなくつながる
2階の個室は、3.7帖の書斎に間仕切りなくつながる

いかすハウスでは、建築士やインテリアコーディネーター、不動産の資格を持つプロたちがチームを組んで、プランづくりに当たっています。「コストを抑えながら、美しく」をモットーに、女性ならではの細やかな配慮を心がけながら予算を生かしきる提案を実現。さまざまな工事で出た端材やデザインの優れた部材、建具、設備などを保存し、プランづくりに活用するケースもあります。

スケルトンに近い状態のリノベーションを行い、性能向上を図ったAさん宅でも、蓄えてあった宝物が活躍しました。既存のモダンなデザイン、素材の良さを生かしながら、キッチンや玄関ドアにはリユース品を採用。味わいのあるストックを活用することで、古さと新しさのバランスがとれたリノベーションを実現することができました。


上川郡・Aさん宅 スライドムービー

\2023/1/25発売!「北海道の工務店と建てる。」2023年版/

家づくりを始める際に重要となるのがパートナー選び。自分に合ったパートナーにたどり着くためには、まず、どのような選択肢があるかを知ることが重要です。

大きな住宅展示場にモデルハウスを持ち、多数のメディアで大々的に広告している大手ハウスメーカーに比べ、地域の「工務店」は、興味はあってもなかなかその実情を把握しにくいのが現状です。

そこで今回は、それぞれに特徴や強みの異なる工務店との家づくりをご紹介。工務店をパートナーに選んで建てた実例と住まい手の声を通じ、その魅力を紐解きます。

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