農業を営むTさんご一家。結婚当初から、ご実家を二世帯住宅にリノベーションして、1LDKの広さで住まわれていましたが、子どもたちの成長とともに不便さを感じるようになりました。しだいに、「子どもたちには窮屈な思いをさせず、仕事とプライベート空間がしっかりと分けられる家づくりがしたい」と意識するようになりました。
しかし、なかなか自分たちが思い描くような設計プランには出会えずにいました。偶然にも、子どもの同級生のご家族が新築をされ、見学に訪れると理想に近い間取りにご夫妻は一目ぼれ。その住まいを建てたのがアクト建築工房でした。アクト建築工房の手がける農家住宅は、仕事圏から生活圏をつなぐバックヤードのつくりが秀逸で、これまでの不便さが払拭されると感じ、ご夫妻の心は決まりました。
家づくりにあたり、ご夫妻がこだわったのは「空間」です。家族それぞれが十分なスペースを確保できること、役割の異なる空間たちがしっかりとゾーニングできることを特に重視していました。また、快適な生活動線と大容量の収納スペースを取り入れることも外せませんでした。
妥協せず完成したのは、3人の子どもたちの個室のほか、キッズリビング、ピアノルームにパパルーム、オフィス機能も備えた住まい。乾燥機の上の作業棚や洗面台のダストボックスなど、奥さんの家事行動を観察して、Tさんが提案したアイデアが随所に取り入れられています。オフィスルームの内壁に、外壁と同じ素材のカラフルなスギ板を採用したこともお気に入りのポイントです。
新築に取り入れたのは、新しいものばかりではありません。キッチンの壁や、玄関前やアプローチ部分には、この場所に立っていた建物に使用されていた軟石やレンガなどの古材を一手間かけて再利用しました。この土地になじんでいた建物の記憶を残す工夫です。「経年の変化を楽しみにする」という考えは、ご夫妻が家づくりの過程で、アクト建築工房の澤田さんの影響を受けたところです。これから3人の子どもたちが成長し、歳を重ねることで家族の在り方やライフスタイルは変化します。将来どのように在りたいかを想像し、月日の経過とともに味わいを増す自然素材や、耐久性が良く普遍的なデザインの家具を積極的に採用。Tさんご家族ならではの家づくりを実現しました。
農作業の繁忙期に引っ越しを完了したご家族は、これからゆっくりと新しい暮らしを味わっていきます。
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