検討から完成入居まで6年もの歳月を費やしたKさん宅。当初予定していた依頼先との計画が頓挫したり、さまざまな事情で建築地が二転三転したりと、家づくりは難航していたといいます。
そんなピンチを救ったのが、知人の紹介で出会った佐善工務店と東山設計のタッグでした。「うちは娘4人で家族が多く、叶えたい希望がいろいろあったし、家相や風水も気にするタイプ。そういうすべての悩みを受け止めて、“モヤモヤした形のないもの”を“形”にしてもらった感じがします」と長かった家づくりをふり返ります。
室内に入るとワクワクするような空間が広がります。大きな吹き抜けと広々したLDK、小上がりの和室やスキップフロアのスタディコーナー、フロア中央には薪ストーブも設置。
スケルトン階段を通って2階へ上がれば、さらに明るく開放的な空間が出現。足元には下階が透けるグレーチング床、頭上にはうんていまであり、まるでアスレチックジムのようです。しかも、小さく分割した4つの子ども部屋や主寝室には全室ロフトが設けられ、そのロフトやうんていを通ればつながった部屋同士で行き来することも可能。子どもたちはあちらからこちらへと自由に駆け回り、それぞれお気に入りの場所で過ごして楽しそうです。
「もともと長女と私がアレルギー体質なので、みんなが健康で元気に暮らせるようにしたかったんです」と語る奥さん。無垢フロアや漆喰など自然素材や環境負荷の少ない薪ストーブを選んだのも、健やかな暮らしを意識してこその選択でした。しっかりとした断熱・気密性能と換気システムで空気環境もクリーン。「おかげで引っ越して以来、一度も発作が出てないんですよ」と快適性に大満足しています。
間取りで注目すべきは、2WAYを基本とする生活動線です。玄関からは来客用と家族用の2ルートがあり、キッチンはパントリー側にも浴室側にもどちらにも動きやすく、洗面脱衣室脇のクローゼットは双方から通り抜け可能。「行き止まり」のない回遊型のプランが、合理的・機能的な暮らしと遊び心を両立しました。
また、一般的な南面の大開口をあえてつくらず、実家の庭(西側)に向かって大きく開く設計としたのもこの家のポイントです。日射は吹き抜け上部の南窓から取り込むことができるので、明るさや暖かさも充分確保。
変形敷地ながらも両家で庭を共有するよう建物を配置したことで、子どもたちが安心して遊べるプライベートスペースが生まれています。