「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2022」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、青森県青森市を拠点に注文住宅を手がけるカメケンアーキテクトの亀田 進之助さんです。
寒冷地からの和モダン住宅の創造
住まいの空間は、落ち着きがあることが必須と考えています。私は居心地良い住空間を追い求め、日本庭園と縁側の関係から海外の住宅までさまざまな視点で学んできました。
昔懐かしい日本建築の縁側と軒下空間は、適度な影に覆われて居心地良く落ち着きますが、影による暗さが北東北の寒冷地には不向きです。そこで、寒冷地に適した住空間への手がかりとして、北欧建築の光を採り込む設計手法に着目しました。
現在、弊社では日本建築と北欧建築の双方を学んだ経験を活かし、日本建築の軒下空間と北欧建築の明るい室内空間を融合した住まいを設計しています。また、冬でも外を使えて広がりのある空間構成を追求しています。
半中庭のある南部の和モダン住宅
青森県八戸市の丘陵地に立地する30代ご家族の住まいです。プライバシーを確保した明るい住まいが建主さんの譲れない要望。敷地は北に向かって下り斜面になっており、南面庭の配置だと斜面上部の方から内部を覗かれやすいため、プライバシーが確保できないという問題が残りました。
そこで、複数の壁により生み出された半中庭空間を取り囲んだ住まいを提案。中庭に一年通して陽が射し込むようなボリューム構成とし、明るい中庭に面して居住空間がコの字型に並んだプランとしています。
大開口サッシにより外部が感じられることで、軒下に佇んでいるような居心地の良さを追求しました。もちろん大開口サッシはトリプルガラス、ハニカム断熱スクリーンを重ね、断熱性能を確保しています。
一方で外周部の北東側に水まわりを、2階には個室コーナーをレイアウトしています。さらには、リビング、ダイニング、寝室など対角線上に居場所をつなぎ、広がりを感じられるよう工夫しています。
大開口窓による内外の連続性、対角線上スペースの連続性により、新たな和モダン住宅が実現されました。寒冷地の厳しい冬でも広々と快適に過ごせる住まいとなることを願っています。
■建築DATA
青森県八戸市・Uさん宅
家族構成/夫婦30代、子ども4人
構造規模/木造・2階建て
延床面積/144.49㎡(約43坪)設計/(株)カメケンアーキテクト 亀田 進之助
施工/(株)カメケンアーキテクト
写真提供/(株)カメケンアーキテクト
\2022/4/18発売!「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2022」/
東北で活躍する建築家や建築会社によるデザイン性の高い住宅実例集のほか、2021年に宮城県石巻市で竣工したマルホンまきあーとテラス(設計/藤本壮介建築設計事務所)を取材した巻頭特集やインテリアアイテムに関するエッセイなど、住宅や建築を多面的に捉えたコンテンツで、家づくりの参考になる住宅のデザインを提案。
普段なかなか目にすることのないこだわりの注文住宅を多数掲載しています。ぜひ家づくりの参考にご覧ください!
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