北海道へ入植して4代目。農業を営むHさんは、子どもが産まれたことをきっかけに、家を建てた友人・知人に相談しながら家づくりを計画し始めました。機能性・耐久性に優れ、そして木の温もりが感じられる環境に優しいエシカルなお家を想像していたというHさん。「ハウスメーカーの話を聞いても、どこの国の材料を使っているか分からない所ばかりで、これはお金の使い方としてあまりかっこよくないな」と思いました。
そんなとき紹介で出会ったのが木村建設で、そこで同社の「木組みの家」のことを知りました。その後実際にモデルハウスを見学し、木の香り・和紙の壁・足音の残響・自由度の高い間取りなど、直感と体感でいいと感じたといいます。「ここなら、地元の素材を使って地元の人がつくる『地域に貢献できる面白い家』を建てられると思いました」。
完成した新居は、遮る建物がない広大な景色の中に建つ、赤い屋根の平屋です。リビングの3間幅の大開口からはその贅沢な四季折々の風景を味わえます。室内は、天然素材の質感と手仕事が息づく空間。柱や梁が見える十勝産無垢カラマツの現しの構造は、職人の目と手で数千分の一ミリの精度を確かめながらつくり上げたものです。
壁には左官職人の手塗りによる土壁や、植物原料の壁紙を採用しています。ダイニングセットや障子・格子戸など、道内各地の職人たちによる造作家具や建具も、空間と美しく調和します。「家づくりは、いろいろな人の手仕事を知るいい機会にもなりました。自然素材を使って、丁寧につくられた空間や家具を毎日眺めていると、エネルギーをもらえるような気がします」と奥さん。
新しい住まいでご夫妻が実感したのは、暮らしの快適さ。「これまでの家は寒くて、結露に悩まされていましたけど、この家は断熱がしっかりしてるうえ、床下暖房でムラなく空間を暖めているから、室温が一定です。一年を通して暑さ・寒さを気にすることなく、快適に過ごせます。薪ストーブを導入しましたが、暖を取る効果だけでなく、子どもにとって火の教育面でもいいことに気づきました。周りの自然から乾いた木を集めて、種火をつけて、空気を送り込む。火の扱い方を身に付けておけば、もしかしたら非常時に生き延びられるかもしれない。日々の生活の中で、自然に生きる力を身に付けられるってとてもいいことだと思います」。
家中を走り回ったり、転がったり、至るところに隠れたり。広くなった家を、子どもたちも存分に楽しめている様子。「音を気にする必要もなくなったので、子どもたちがのびのびと遊べるようになりました。夜ご飯を食べた後からお風呂に入るまで、永遠と追いかけっこが続きます」と、奥さんは笑顔で語ってくれました。