暖房器具としてだけでなく、住まいのインテリアとしても注目度の高い薪ストーブ。しかし、一度設置してしまったら簡単に動かすことができないので、設置場所を慎重に考える必要があります。今回は、薪ストーブの専門店にベストな設置場所を提案してもらったという、山形県寒河江市のAさんの例を見ていきましょう。
「薪ストーブは憧れで、家を建てるならぜひ入れたいと前々から思っていました」。そう語るAさんの琴線にふれたのが、ドイツ・ブルナー社の「アイアンドッグ N⁰07_」でした。薪ストーブ輸入販売・施工会社であるdldの山形ショールームで実物を見て、すっきりとしたモダンなデザインに惹かれたといいます。「その流れで、施工もdldさんにお願いすることにしました」。
床と天井にあしらったレッドシダーが上質感と落ち着きを醸すLDK。その南面には陽射しをたっぷりと採り込む壁一面の大開口。プライベートコートに出入りできる2つの掃き出し窓を左右に従えるように、Aさん宅の薪ストーブは窓辺で存在感を放っています。
LDKはもちろん、中2階のセカンドリビングからも視界に入る、まさにおあつらえ向きの設置場所のように感じますが、「はじめは窓際ではなく、LDKの真ん中に設置するプランで進んでいたんですよ」とAさんは振り返ります。
部屋の中央に置くと熱が360℃放射され、空間全体を効果的に暖められるというメリットがありますが、その反面、各空間のレイアウトによっては生活動線の妨げになってしまうというデメリットも。元気な娘さんたちがいるAさん宅では、火傷やケガのリスクも心配でした。
そうしてさまざまな角度から検討しながら、ご夫妻、設計士、工務店とそれぞれの意見や要望を総合してdldが提案したのが、窓際に設置するプランでした。「結果的にLDKを広く使えているので、この位置に置いて大正解でした」と、ご夫妻ともに大満足の様子。暖かさについても、床下エアコンとの併用でまったく問題はなく快適だといいます。
Aさん宅では、薪を地元の森林組合などから購入していて、太めの薪はAさんが自ら薪割りをしています。この冬は、3.5棚分の薪を使用したそうで「ひと冬使ってみて、必要な薪の量がなんとなく分かってきました」と徐々に感触をつかんでいます。
実は奥さんは当初、「手間がかかりそう」という理由で薪ストーブの導入には反対だったそう。「でも、慣れれば手間なことはなくて、手入れも難しくありません。キッチンに立っているときも自然と炎が目に入ってくるので心が落ち着きますね。何よりも、薪ストーブならではのやわらかな暖かさがお気に入りです」と、今ではすっかり薪ストーブ愛好家に。
Aさんは「炎を眺めながらお酒を飲むひとときが夢でした。夢が叶って本当に嬉しいです」とにっこり。娘さんたちと一緒に薪割りをしたり、薪ストーブ料理に挑戦したりと、薪ストーブがあるからこそ体験できる暮らしを家族みんなで満喫しています。
薪ストーブ設置・施工/(株)dld(ディーエルディー)山形ショールーム
山形県山形市あかねケ丘1丁目16-21
https://www.dld.co.jp/showroom/yamagata/