全国から優れた省エネルギー住宅を選定する「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」を9年連続で受賞するなど、高性能でエコな住宅づくりを得意とするタックホーム。長年、住宅性能の向上に取り組んできた同社の立花代表は、従来の家づくりルールにとらわれずに北国岩手の住宅の快適性を追求。「大事なのは昔の住宅のセオリーを読み解くこと」と話し、北側の採光を積極的に取り入れる暮らしや、換気や暖房機器で空間温度を均質に保つなど個性的なノウハウを展開してきました。

変化のある大屋根が印象的なMさん宅。手前の白い壁の部分が自宅カフェ「花cafe」

そんなタックホームとMさんご家族が家づくりをともにしました。住宅見学会でタックホームの家のデザインを気に入り、何度も足を運ぶうちに性能の高さに裏付けされた住み心地のよさも実感したといいます。2019年には念願の土地と出会えたことで、憧れのカフェ併用型住宅を実現しました。Mさん宅が建つのは、北に岩手山が裾野を広げ、東側に大きく開けた高台の土地。およそ300坪と広く、住宅のまわりには花のガーデンをつくる計画です。立花代表も「この素晴らしいロケーションを活かすプランを提案しました」と話します。

「カフェの扉は最初から水色に決めていました」とMさん。微妙なニュアンスを伝えるために何度も色合いを検討したのだとか
カフェの入り口には冷暖房兼用のHRCパネル。格子状のため店内の目隠しにも一役買っている

住宅部分は屋根も外壁も黒で統一し、ダイナミックな大屋根は青空にそびえ立つかのよう。その一角、東側に大きなテラス窓を設けた部分がMさん念願のカフェスペースです。白壁にブラウンの屋根、水色の扉というカラーリングを採用し、店舗としての存在感を際立たせました。

東側の眺望を活かしたカフェ。土地は約300坪と広く、これから時間をかけて庭づくりもしていく予定
看板メニューの「花cafeランチ」は月替わりのメインディッシュに前菜やサラダ、ドリンクまで付いている
ランチのデザート。14時からのカフェタイムでもさまざまな手づくりデザートが楽しめる
カフェには小上がりスペースがあり、ワークショップなどで活用されている。奥の引き戸を開けるとLDKが現れる

店内は11坪とコンパクトながら、窓と屋根勾配を上手に活かした明るい空間。印象的なのは玄関扉の脇に配置した真っ赤なパネルヒーターです。高齢の家族と暮らし、自身もエアコンの風が苦手というMさんは、建物全体を一定の温度に保つパネルヒーター暖房を採用し、カフェには冷暖房兼用のHRCパネルを設置。冷えすぎず、木陰にいるような爽やかな冷房でお客様を迎えています。1人で切り盛りするため、カフェと住居を行き来する出入り口は2ヵ所設置。住居の1階部分もLDKから廊下を経て、水まわりまでぐるりと回遊できる動線とするなど、使いやすさにこだわりました。

明るさ、そしてパネルヒーターによる均質な温度感も心地よいLDK。住宅性能の高さを感じられる
シンプルで使いやすさを追求したダイニング・キッチン。白とグレー、ナチュラルな木の風合いが落ち着く

キッチンから水まわりまで続く動線は、日々の家事をする上で実に便利。キッチンと洗面所の間には食品庫も設けられている
キッチンから水まわりまで続く動線は、日々の家事をする上で実に便利。キッチンと洗面所の間には食品庫も設けられている
Mさんが趣味のパッチーワークを楽しむスペースは2階に配した
「穏やかな光が得られる」と立花代表も力を込める北側採光。天窓は開け閉めが可能

立花代表も「タックホームの家づくりを気軽に体験できる場所ができました」と太鼓判を押すMさんのカフェ。ぜひ一度、おいしいランチやデザートを味わいに訪れてみてください。