在宅勤務のメリット・デメリット
筆者の勤める学校でも、授業はすべてオンライン化されました。筆者も何度かやってみましたが、最近の情報技術の進歩もあって、普通の座学よりもよっぽど効率的に授業ができています。学生たちもWEB会議アプリやチャット・メモアプリなど最新ツールを駆使して、他のメンバーと楽しく共同で学習しています。
企業の在宅勤務についても、多くの人が「通勤ラッシュを避けられる」「時間にゆとりができる」「他人に邪魔されずに自分の仕事ができる」ことにメリットを感じているようです(図7-1)。やはり時間の節約は、限りある貴重な人生にとって最重要なのでしょう。
在宅勤務で困ったこととしては、「運動不足」「人との会話が減る」などがありますが、これは生活の工夫で改善できそうです(図7-2)。「集中できない」「環境が整っていない」などは、住まいが在宅勤務を想定していないことと関係しているかもしれません。暮らし方の見直しや住みこなしで解決できる不満もありますが、限界もあります。これから住宅を手に入れる人は、在宅勤務のことも考えておいた方がよさそうです。
在宅勤務を行う場所の確保が課題
在宅勤務を行う場所としては、「書斎や個室」という羨ましい人もいますが、半分はリビングやダイニングで行っているようです(図8-1)。他の家族も在宅勤務をしている場合は、同じテーブルを共有している人も1/3に上ります(図8-2)。子どもがいる場合には、いろいろと苦労が多いことも見受けられます(図8-3)。また「WEB会議や電話など音に関する問題」も多く見られます(図8-4)。
家を手に入れる際、在宅勤務を予定していた人はごく少ないと予想されます。基本的には食事・休息・就寝だけを想定した住宅プランにおいて、今回急に在宅勤務を行うハメになり、何とか適応している苦労が透けて見える気がします。
雑誌などでもコロナウイルス対策の特集がよく組まれていますが、在宅勤務のスペース確保には多くの人が悩んでいるようです。自動車の中でパソコン作業やビデオ会議をする特集までありました。特に音が重要なビデオ会議のためには静かな環境が必要ですが、その確保は容易でないようです。
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