江別市の緑豊かな飛鳥公園の隣に建つ、江別レンガと道南スギの外壁が印象的なこの建物は、アトリエキバコの事務所を兼ねた「アトリエ」です。
「昔のシチューのコマーシャルに出てくるような、ほっこりとした北海道らしい家をつくりたいんです」と話すのは、アトリエキバコの代表・中川寛隆さん。新築にこだわらず、中古リノベやマンションリノベなど、お客様のライフスタイルにしっかりと寄り添った家づくりを続けています。「自然素材の経年変化を楽しむ豊かな暮らしが長く続き、やがて次の世代へと住み継がれるような住まいにしたいんです」という中川さんの家づくりへの想いが、このアトリエには目一杯詰まっています。
夫婦と子ども1人の3人家族の暮らしをイメージして建てたこのアトリエは、大きな開口部から望む豊かな緑や間仕切りのない広々とした1階など、開放感に満ちた空間ですが、実は32坪というコンパクトサイズ。「工夫ひとつで、小さくても家は豊かになります。小さくすることで予算を抑え、良質な自然素材を採用することもできますよね」と、江別レンガや道産無垢材、稚内の珪藻岩の塗り壁など、アトリエには自然素材をふんだんに使用。家具も江別や当別の作家によるもので、素材も含めてオール北海道でつくられています。また、1階は子どもの成長に合わせて間仕切りを設けられるよう高さを低く抑えていて、家族の暮らしの変化にフレキシブルに対応できるのも魅力です。
ナラやチェリーなど、踏み板の素材を変えた螺旋階段を上ると目の前に広がるのは、薪ストーブのある2階LDK。天窓から注ぐ光が自然素材に包まれた空間を柔らかく照らします。「リビングの大黒柱は金輪継ぎという伝統的な手法を用いています。プレカットではなせない職人の高い技術を感じられるよう、1階もあえて天井を張らず構造材を見せているんです」。アトリエには、中川さんが大切にしている職人たちの手仕事と、北海道という豊かな土地を生かした素材が存分に生かされています。
「札幌へのアクセスも良く、ゆったりとしたロケーションを持つ江別は注目のエリアです。江別の赤レンガや家具職人など、地域の素材や人とのつながりを大切にしながら、家づくりを続けていきます」と中川さんは話してくれました。