二本松市中心部の北側。阿武隈川の支流の川沿いに建つSさん宅は、スギ板張りの外観が目を引きます。ご夫妻には3歳と1歳の2人のお嬢さんがおり、小学校が近いことや買い物などの便利さも考え、この分譲地を選んだといいます。
設計、施工に当たったのは「タカモク」。猪苗代町で小さな製材所「高梨材木店」としてスタートしたタカモクは、文字どおり樹木と向き合ってきた会社です。その後、建築工事業も手掛けるようになり、平成2年より地元密着の家づくりを続けています。自然素材を大切にした家づくりをしており、今回のSさん宅でも、外壁のスギ板に加え自然素材をふんだんに用い、コンパクトな心地よい住まいをつくり上げました。
玄関ドアを開けると、連なる梁が印象的なLDKが迎えてくれます。梁とは垂直方向に伸びるスギのフローリングは柔らかく、子どもたちが走り回っても安全で静か。床から30センチ程の高さに設けた掃き出し窓は、ベンチや収納としての機能とともに、シンプルなフロアに変化を付けています。
そんなLDKの中心となるのがキッチン。お子さんが小さいこともあり、浴室やトイレ、ユーティリティも含め、個室以外のすべてが見える、キッチンはまるで司令塔のような場所です。また、ユーティリティの洗濯機の横にはアイロン掛けのスペースが設けられるなど、仕事を持つ奥さんの家事負担の軽減にも配慮されています。寝室のクローゼットに、廊下・畳コーナー・キッチンなど随所にたっぷりと設えた収納も、スッキリした住まいには欠かせません。
タカモクでは30年、50年後にも変わらず居心地がよく、美しい住まいであるために、たとえば手入れのしやすい素材を選ぶなど、経年後にも思いを馳せます。
Sさん宅のスギのフローリングには仕上げに蜜蝋ワックスを施し、その作業はSさんご家族も一緒に行ったそうです。「良い思い出になった」と話すSさんですが、実は一緒に作業をすることで、今後必要となるフローリングの手入れ法を学ぶ機会にもなったそうです。柔らかいスギフローリングは、ちょっとした傷ならアイロンと蒸しタオルで修復が可能。その修復法もワックス塗布の際に学ぶことができたのです。木の特性を知っているタカモクだからこそ、お客様に木を大切にする方法も知ってほしいといいます。
飾り棚に並ぶ家族の写真は、これからどんどん増えることでしょう。この家はきっと、家族の笑顔をずっと見守ってくれるに違いありません。